分配係数
イオン交換樹脂を用いる分離系では、吸着の強さを表す指標として分配係数が用いられる。分配係数 K = イオン交換樹脂中のイオン濃度/溶液中のイオン濃度。
ここで試料の初期イオン濃度 C0、初期放射能 A0、水溶液に残ったイオン濃度 C、水溶液放射能 A、水溶液体積 V、イオン交換樹脂重量 m とすると、K = (C0-C)/C = [(A0-A)/m]/(A/V)
また、有機相中の溶質の全濃度を C0、水相中の溶質の全濃度を CA とすると、分配比は次のようになる。 D = C0/CA
分配比 D は水相を基準として有機相に何倍多く抽出されるかを表し、D が大きいほど有機相に多く抽出されることを意味する。また、放射性核種がどれだけ有機相に抽出されたかを表す抽出率は、分配係数比で表される。 E = D/[D+(Vw/V0)] Vw:水相。Vo:有機相。水相と有機相を等容積で抽出を行う場合は、E = D/(D+1) となる。
溶媒抽出法について
溶媒抽出法も微量の放射性物質を分離するときにしばしば用いられる。溶媒抽出では2種類の互いに溶解しない溶媒に対する溶質の溶解性の違いを利用して分離又は抽出を行う。実際の分離抽出では、分配比 D = C2/C1 が重要である。平衡状態に達した時の 溶媒2への抽出率 E(%) は、体積を V1,V2 とすると、E = D/[D+(V1/V2)] = (C2/C1)/[(C2/C1)+(V1/V2)] = (C2V2)/(C1V1+C2V2) × 100 となる。一般に目的核種を抽出する場合、使用する溶媒の体積は 同じである必要はない。上と同じ抽出を溶媒2を一度に全量使うのではなく、3回に分けて抽出操作をする場合を考える(抽出1)。次に溶媒1に対して新しい V2/3 量の溶媒2を使って再び抽出する(抽出2)。さらに V2/3 量の溶媒2で抽出をもう一回繰り返す(抽出3)。 この一連の操作での抽出について、抽出1での抽出率 E1 = [20C1 × (V1/3)]/[C1V1 + 20C1 × (V1/3)] = (20/3)/[1+(20/3)] = 20/23 ≒ 0.87 となる。(問題文から V2 = V1/3、 C2 = 20C1 となることがわかる)。D = 20 とした時、抽出3まで行うと、溶媒1に残っている目的核種は 2.2 × 10^(-1) % となる。解説 (前述の答えより1回の抽出では 20/23 が溶媒2に抽出され、1 – 20/23 = 3/23 が溶媒1に残る。これを3回繰り返すと溶媒1に残る割合は (3/23)^3 = 2.2 × 10^(-3) = 2.2 × 10-(-1) % となる。)一般に抽出に用いる溶媒を一度に用いるより多数回に分けて用いた方が操作全体で抽出率は大きくなる。 金属イオンは有機溶媒にはほとんど溶けないが、有機溶媒への溶解性を高めるキレート剤と結合させることで金属イオンの水溶液から有機溶媒への抽出が行われる。一般的にこのようなキレート剤 は弱酸であるために、抽出効率は水溶液の pH に大きく依存する。複数のイオンの混合水溶液から特定のイオンを有機溶媒へ抽出する場合には、目的イオン以外の水溶性を高める マスキング剤が用いられる。
また下記のサイトに私がまとめた資料を示しております。