RIの分離
主な分離方法を下図に示す。
ホットアトム法
ホットアトム法 = 反跳原子法 = ジラーズ・チャルマーズ法 と呼ばれ、中性子照射によってターゲットが放射化した時、娘核種から放出される放射線の反跳エネルギーによって、結合が切れて、液体又は気体中に遊離する現象を利用する。C2H5Iに熱中性子 を照射すると C2H5I(128) が発生する。128I からのγ線によって、結合が切れて 128I が溶液中に移動する。
例題1
ヨウ化エチルを中性子照射したのち、水を加えて振とうすると放射性ヨウ素は水相中に移るか?
解答
この反応は 127I(n,γ)128I 反応のγ線の反跳エネルギーによって C2H5-I の結合が切られるため水相に高比放射能の 128I が移行する。
例題2
安息香酸と炭酸ナトリウムを混合して中性子照射すると、トリチウムで標識された安息香酸が得られるか?
解答
有機化合物に炭酸リチウムまたは 3He を混合して中性子照射することにより、6Li(n,α)3H または、3He(n,p)3H で生成する。ホットアトムの 3H によって有機化合物を標識する。これを反跳合成法という。
例題3
クロム酸カリウムを中性子照射したのち、水に溶解し、陽イオン交換樹脂カラムに流すと (51Cr)3+ が樹脂に捕集されるか?
解答
反跳エネルギーにより、 (CrO4)- イオン中の結合が切られるため (51Cr)3+ イオンが生成する。これを利用して高比放射能の 51Cr が(n,γ)反応によって作られる。
直接希釈法
同位体希釈分析法の基本形で RI によって定量分析をする手法である。定量する資料の重量 X、添加する同じ化学形の RI の重量 a、比放射能 S0 とすると次式の関係が成り立つ。S(a+X) = S0a
逆希釈法
放射性化合物を定量するのに非放射性化合物を用いる希釈分析法で、定量する放射性物質の重量 X、比放射能 S0、加える非放射性物質の重量 a、加えた後の比放射能 S とすると、S0X = S(X+a) という式が成り立つ。
二重希釈法
比放射能の分からない放射性物質の定量に使用する。放射性試料 X を2等分し、非放射性化合物 a1、a2 をそれぞれに加え、混合後、一部を取り、その放射能 S1、S2 を求める。求める放射性物質の重量 X は次式となる。X = [(S2a2-S1a1)/(S1-S2)]
また下記のサイトに私がまとめた資料を示しております。