放射線防護に関する記述
Ⅰ
放射線防護の目的は確定的影響の発生を防止し、確率的影響の発生を減らすことである。放射線防護に当たっては、①行為の正当化、②防護の最適化及び③個人の線量限度の3つを考慮しなければならない。行為の正当化とは、放射線被ばくを伴うどのような行為も、それによってもたらされる 損害よりも便益が大きくなければ採用してはならないという原則である。また、防護の最適化とは、個人線量の大きさ、人数及び被ばくする機会を、経済的、社会的要因を考慮して、合理的に達成できる限り低く抑えるという原則である。例えば、外部被ばくの場合には、作業をするに当たって時間を短くする、遮蔽する、 及び距離を長くするなどの処置をとり、被ばく線量をできるだけ低く抑えることが重要である。
Ⅱ
個人が受ける全ての線源からの被ばくの総線量を制限するために線量限度が設けられている。線量限度以下の被ばくであれば便益に比べ、リスクは容認できると考えられる。仕事で放射線被ばくする可能性のある人の被ばくを職業被ばくと呼び、5年間で受ける放射線の線量限度は 100 mSv で、この範囲で1年間に 50 mSv を超えることがないよう制限されている。ただし、妊娠する可能性のある女性の場合は 5 mSv/3月、妊娠している女性の腹部表面では、本人の申し出等により許可届出使用者等が妊娠の事実を知った時から出産までの間につき 2 mSv である。また、ICRP の勧告では、一般公衆の被ばくについても1年間当たり 1 mSv という限度が設定されている。他方、線量限度は医療被ばくには 適用されない。これは、CT、PETなどによる診断、ガンマナイフなどによるがんの治療、あるいはIVR等に放射線を利用する便益を制限しないためである。
また下記のサイトに私がまとめた資料を示しております。