Ge半導体検出器

Ge半導体検出器に関する記述

Ge半導体検出器によるγ線の測定によって放射性同位元素の種類・数量を求める場合、まず、既知数量の 152Eu などの標準線源を用いる検出器のエネルギーの校正及び計数効率のエネルギー依存性の測定が必要となる。ただし、サムピークの生成を最小限にとどめるために、距離を大きく取ることがある。 放射性同位元素を含む試料の放射能定量に、この計数効率を適用するには、標準線源と幾何学的配置を同一にする。

 

解説

Ge半導体検出器はγ線用の検出器である。通常のGe半導体検出器で測定できるγ線のエネルギーの下限は 50keV 程度、広領域では数keV 程度の低エネルギーX線までである。核種の決定にはパルス波高の測定に用いるマルチチャネルアナライザーのチャネル番号とγ線のエネルギーとの関係を与えるエネルギー校正曲線を、また放射能の定量にはγ線エネルギーに対する計数効率曲線をあらかじめ作成しておく必要がある。 この場合の標準線源として、22Na , 54Mn , 57Co , 60Co , 88Y , 137Cs のように、半減期が長くかつγ線放出割合がよくわかった核種が選ばれる。
55Fe:半減期 2.73年、EC壊変・X線(低エネルギー)
99Tc:半減期 2.14×10^5年、β-線
152Eu:半減期 13.5年、γ線(多数)
210Po:半減期 138.4日、α線
※ 152Eu はγ線検出器の校正に用いられる。
また、測定において、線源の測定位置はGe検出器から距離を離し、カスケードγ線によるサム効果が無視できるようにするのが望ましい。一度ピーク計数効率曲線を作成しておけば、幾何学的配置(線源・検出器間距離や線源の形状)を変えない限り以後も活用可能である。

 

液体でも、沸点の低い物質や分解しやすい物質では、放射性の気体が発生する場合があるので、放射性同位元素の科学形や反応性についても注意する。放射性ヨウ素の化学形が I2 の場合には揮発性が高くなるので、こうした化学形になることを避ける。例えば、125I で標識されたヨウ化ナトリウム水溶液の使用に際しては、H2O2 等の酸化剤の混入の可能性等を事前に検討する必要がある。 混合による急激な化学反応の進行により、特に、発熱反応である場合、放射性同位元素の飛散を招く可能性があるので、実験計画の段階から注意する。溶媒にエーテル類を用いる場合などは、特有の揮発性・引火性に注意が必要である。

 

解説

トレーサ実験には、半減期の長い 125I や 131I が用いられる。放射性ヨウ素には、 I2、I-、IO3(-)、IO4(-) などの化学種がある。I2 は揮発しやすく放射性汚染を起こしやすい。更に、酸性にすると揮発しやすいため、酸性溶液にしたり、酸化剤を加えたりしないようにする。

放射性物質取扱作業:取扱行為は、一般的操作、機械加工、化学反応などの操作、加熱操作、静置に分けてみると、加熱操作が最も飛散を起こす可能性がある。加熱及び発熱を伴う操作には注意が必要である。また、溶媒としてエーテル類を用いる場合には、その揮発性と引火性にも注意が必要である。

 

放射性の金属イオンの相互分離には、陽イオン交換樹脂による方法があるが、塩酸形でクロロ錯体を形成する場合には陰イオン交換樹脂による分離も可能である。陰イオン交換樹脂に吸着された放射性同位元素について、クロロ錯体の安定度定数が大きく異なると、溶離液の 酸濃度を順次変えることで、それらの元素を少量の溶離液で分離することができる。

 

解説

(強塩基性)陰イオン交換樹脂の吸着能
Fe3+、Co2+、Zn2+は、塩化物イオンが存在すると、FeCl-、CoCl4(2-)、ZnCl4(2-)などのクロロ錯体を形成するので、強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着するようになる。陽イオンと塩化物イオンのクロロ錯体の形成が強いものほど、塩酸溶液の濃度は、薄いものを使用しなければならない。この時に、Zn2+ が最も強い クロロ錯体を形成している。この性質を用いて溶離液の HCl 濃度を変えることで、以下のように重金属イオンを分別分離することが可能である。
塩酸濃度と陰イオン交換樹脂からの重金属の溶出順:Ni3+(12M) > Mn2+(6M) > Co2+(4M) > Cu2+(2.5M) > Fe3+(0.5M) > Zn2+(0.05M)
ここで Co2+、Fe3+、Zn2+ はクロロ錯体である。

 

実験室の床面が 14C によりスポット状に汚染された場合、サーベイ法による汚染位置の特定にはGM管式サーベイメータが用いられる。汚染の固着性の程度により、汚染の拡大の可能性や除染の方針などが変わるため、スミア法による放射能測定も行われる。この場合には、液体シンチレーション計数装置を用いて測定するのが最も検出効率が高い。汚染核種が 32P の場合には 液体シンチレーション計数装置によるチェレンコフ光計測も利用できる。いずれの核種にも、固着性の汚染の場合には、スミア法で検出できない。遊離性の汚染の除去には、一般に、水、中性洗剤、酸、可溶性錯塩形成剤などが用いられる。可溶性錯塩形成剤としてはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などが用いられる。ただし、14C が炭酸イオン として存在している場合には、酸を用いると 14CO2 の発生により汚染が拡大する可能性がある。

 

解説

14C 及び 32P を使用する実験室において使用中に生じる表面汚染に対して測定のために適当な機器は以下の通りである。
14C:直接測定では薄窓のGM管式サーベイメータ、間接測定(スミア法)では薄窓のGM計数管または液体シンチレーション計数装置を使用する。特に液体シンチレーション計数装置は 14C のような低エネルギーβ線放出体測定のときは自己吸収がほとんどない優れた方法である。
32P:直接測定ではGMサーベイメータを使用する。間接測定(スミア法)ではGM計数管または液体シンチレーション計数装置を使用する。特に 32P エネルギーが高いため、液体シンチレータを用いず液体シンチレーション計数装置によるチェレンコフ光計測が可能である。

汚染の種類

固着性:表面に固着し、遊離しない汚染で体外被ばくだけを問題にすれば良い。
遊離性汚染:舞い上がり、室内の空気を汚染し、体内被ばくをもたらす。遊離性汚染の方が、危険性が高い。
直接法はサーベイメータにより表面を直接測定する方法で、固着性汚染と遊離性汚染の両方に適用できる。一方、間接法(スミア法)は、汚染表面をろ紙で拭き取り、そのろ紙を測定する方法となる。

遊離性の汚染の除去

RIによる汚染は、種々の状況が考えられるが、汚染の状況に応じて最も適切な除去法をとらなければならない。除染剤は、初めはなるべく温和なものを用い、除染できなければ順次化学的活性度の大きいものに移るようにする。化学的活性度の大きい除染剤の除染効果は大きいが、表面が侵食され再汚染のとき、除染が非常に困難になるからである。また除染剤の中には、、気体のRIを発生するものがあるので、(例として 14C の炭酸塩の場合、塩酸などの酸を加えると、分離して、14CO2 が発生する) 除染剤の選択には注意が必要である。一般に除染剤としては水、中性洗剤、酸、キレート形成剤などが用いられる。キレート形成剤としては Na-EDTA等がある。

 

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原爆被爆者の疫学調査

原爆被爆者の疫学調査

① 発がんの増加が認められる臓器・・・胃、肺、白血病、肝、乳房。認められていない臓器・・・膵、直腸、胆、子宮。前立腺、腎、喉頭。

② ヒトでは遺伝的影響の増加は有意ではない。

③ 組織荷重係数の大きさはガンの感受性を表している。

④ 組織荷重係数は低線量被ばくによる確率的影響を評価する。

⑤ 器官形成期の被ばくの影響で小頭症が胎児奇形で唯一確認されている。その他に精神発達遅滞、低身長もあげられる。

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環境におけるラドン(222Rn)・トロン(220Rn)

環境におけるラドン(222Rn)・トロン(220Rn)

ウランやトリウムは地殻に普遍的に存在する微量元素である。地殻中のウラン(238U)とトリウム(232Th)の平均壊変数はそれぞれ 0.033 Bq/g と 0.039 Bq/g であり、もしも放射平衡が成立していれば、ラドン(222Rn)とトロン(220Rn)の放射能はほぼ等しいことになる。 大気を構成する土壌・岩石から空気中に放出されたラドンは、地表面から大気中に散逸するか、または家屋の床を通して屋内大気に侵入する。家屋の気密性が高いと屋内のラドン濃度は明らかに増加する。プレハブ、鉄骨、木造家屋のラドン濃度が低く、コンクリートブロック の家屋のラドン濃度が高い。また、大地からのラドン散逸は気象に大きく左右され、土壌や岩石組成が地域により異なるため、大気中のラドン濃度にも地域性が認められる。花崗岩の多い西日本では比較的高く、関東ローム層に覆われた関東地方では低い値を示す。花崗岩に 含まれている放射性核種は 238U 系列と 232Th 系列であり平均して 100Bq/kg 放出される。

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放射性同位元素 18F

放射性同位元素 18F に関する記述

放射性同位元素 18F を製造、使用する施設がある。この施設の利用に際しては、放射線発生装置特有の事項や取り扱う放射性同位元素の物理的性質、化学的性質を知って奥必要がある。18F などのPET診断用の放射性同位元素を製造する放射線発生装置として、サイクロトロンが最も多く利用されている。18F は主に酸素の濃縮同位体を含む水をターゲットとして用い、 陽子照射で製造されている。また、幾つかの施設ではネオンをガスターゲットとして用い、重陽子照射によって 18F を製造する方法も利用されている。放射線発生装置使用室内には、運転中立ち入ることはできず、みだりに立ち入ろうとすると、インターロック機構により発生装置は自動的に 停止するようになっている。運転停止直後は室内の線量率が高いため、入室する際には、放射線モニタで室内での空間線量率の減衰を確認する。また、発生装置周辺には高線量率の場所があるため、数 mSv/h まで測定可能な電離箱式サーベイメータを携行するのが望ましい。18F は半減期が 110 分の β+ 壊変核種である。陽電子の消滅時にエネルギーがおよそ 0.5 MeV の2本の消滅放射線が同時に反対方向に放出されるため、測定にはこの消滅放射線を同時計数する方法が利用されている。また、フッ素はハロゲン元素の中で最も原子番号の小さい元素であり、化学反応性に富む。照射された水を陰イオン交換樹脂に通して 18F を捕集できる。

 

次に、18F を取扱う際の外部被ばく線量を推定しておくことにした。10 GBq の 18F を含む溶液 0.1ml がバイアルに入っている場合に、0.5m 離れた位置で 10 分間作業すると、被ばく線量は0.93 mSv となる。ただし、18F の実効線量率定数は 0.140 μSv・m^2・MBq^(-1)・h^(-1) とし、作業中の放射能の減衰は考慮しないこととする。また、このバイアルを厚さ 1.5 cm の円筒状の鉛容器の中に入れて 取り扱えば、線源から 0.5m 離れた位置で 10 分間作業する際の被ばく線量は 120 μSv となる。そこで、線源を入れた鉛容器の外側を、更に厚さ 5cm の円筒状の鉛遮蔽体で囲むようにすると、作業者の体幹部での被ばくは鉛容器のみの時に比べ、更に 1000 分の1 以下に低減できる。ただし、消滅放射線に対する鉛の半価層hが 0.5cm とする。

 

被ばく線量 0.93 mSv となる計算式 E = (0.14 × 10 × 10^3)/0.5^2 = 5.6[mSv/h] となり、作業時間 10 分より 5.6 × (10/60) = 0.93[mSv]

遮蔽後の作業による被ばく線量 120 μSv となる計算式 鉛の厚さが 1.5cm、半価層が 0.5cmであるので、線量は 1/8 にまで減少する。したがって 5.6 × (1/8) = 0.7 [mSv/h] となり、

0.7 × (10/60) ≒ 0.12[mSv] = 120[μSv] となる。

更に厚さ 5cmの円筒状の鉛容器で遮蔽した時の計算式 更に 5cm の鉛を入れたので減弱は (1/2)^(5/0.5) となり、1/1024 まで減少する。

 

18F の飛散についても検討した。
10 GBq の 18F をフード内で取扱う時、10分の1 の 18F が飛散したと仮定して、排気中濃度を 8 時間平均濃度として求めてみると 2.5 ×10^(-3) Bq/cm3 となる。ただし、18F の減衰は考慮しないものとする。ここで排気能力は毎時 500m3、排気フィルターによる 18F の捕集効率は 99% とする。次に、換気が停止した状態でフードから 10 MBq の 18F が作業室全体(5m×5m×2m)に均一に飛散したとすると、 室内の空気中濃度は 0.2 Bq/cm3 となる。作業者がそこで 10 分間作業した場合、作業者の受ける内部被ばく線量は 2.2 μSv と見積もられる。ただし、成人の呼吸量を毎分 20l とする。飛散した 18F の化学形はフッ化水素とし、告示別表2の第2欄に定められた吸入摂取した場合の実効線量係数は 5.4×10^(-8) mSv/Bq である。これらの排気中濃度及び作業室内での 空気中濃度の計算結果をそれぞれ告示別表2の第5欄の排気中濃度限度 4×10^(-3) Bq/cm3 及び告示別表2の第4欄の空気中濃度限度 4×10^(-1) Bq/cm3 と比べると、排気中濃度限度、空気中濃度限度ともに越えなかったことになる。

 

Ⅲ 解説
空気中放射性核種の濃度測定:放射性物質の吸入量を推定し、体内摂取の危険性を評価する目的と、空気汚染を起こす恐れのある作業をする時、換気など室内空気の管理、排気の管理のチェック目的で測定する。
排気濃度のの計算
排気中濃度 x は、Q[Bq]の 18F をフード内で扱う時、飛散率 ω、フィルタの透過率 φ (1-捕集率)、1時間あたりの排気量 V、排気時間 t とすると、
x = Q・ω・φ/(V・t)・・・①
x = 10[GBq]×(1/10)× (1-0.99)/(500×10^6[cm3/h]×8[h]) = 2.5×10^(-12)[GBq/cm3] = 2.5×10^(-3)[Bq/cm3]

 

換気停止時の空気中濃度の計算
10 MBq の 18F が作業室内全体(5m×5m×2m)に均一に飛散したとすると、10[MBq]/(500×500×200)[cm3] = 2.0×10^(-7)[MBq/cm3] = 0.20[Bq/cm3]
空気中濃度より、内部被ばく線量 E[mSv] を計算する。
e を実効線量係数[mSv/Bq](告示別表2の第2欄)、I を摂取量[Bq]とすると、
E = e × I・・・②
ここで、空気中濃度は 0.20[Bq/cm3]、呼吸量は 20[l/分](=20000)[cm3/分]、作業時間 10 分であるから、
I = 0.20 × 20000 × 10 = 4.0 × 10^4[Bq]
したがって②式より
E = 5.4 × 10^(-8)[mSv/Bq] × 4.0 × 10^4[Bq] = 21.6×10^(-4)[mSv] ≒ 2.2[μSv]

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リスク予測モデル

リスク予測モデル

発がんによる生涯リスクの推定で将来の発生数を現時点での発生数から予測するための発現分布モデル。

リスク係数

単位線量あたりのがん発生率。リスク係数を算定する場合、全てのガンに直線モデルを適用して高線量・高線量域からずれを補正するために線量・線量率効果係数(DDREF)として 2 を採用している。この線量・線量率効果係数(DDREF)は高線量・高線量率データを低線量・低線量率に外挿するための係数。

絶対リスク予測モデル

線量あたりどれだけ影響が発生するかという評価法。自然発生が少ない白血病が適合。絶対リスクの臓器間の大小は単位線量当たりの発生数として表すことができる。年齢にかかわらず一定で、年齢が関わるのは相対リスク。

相対リスク予測モデル

線量あたり自然発生率の何倍の影響が発生するという評価法。自然発生が多い固形がんが適用。相対リスクの大小は自然発生が多いものは小さくなり、自然発生が少ないものは大きくなる。 日本人では白血病の自然発生は少なく、胃がんは多い。2012年に発表された寿命調査第14報では、全固形がんの過剰相対リスクは 1 Gy あたり 0.42 とされている。したがって相対リスクは 1.42 となる。

補足 相対リスクは自然発生の何倍かを考えており、過剰相対リスクは自然発生分の 1 を引いた値である。したがって相対リスクと過剰相対リスクの差は常に 1 である。また相対リスクは白血病が最も高くなる。 相対リスクの大小関係は自然発生が多いものは小さく、少ないものは大きい。

 

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元素組成分析法

元素組成分析法

物質中の原子を励起して、その原子が放出する光子を元素分析法に用いることができる。例えば、X線発生装置からのX線や数十 keV に加速した電子線を試料に照射すると、励起原子から線 スペクトルとして元素に固有な特性X線が放出される。これを測定する蛍光X線分析法は、試料中の多種類の元素を非破壊的に同時に定量することができる。特性X線は Kα線や Lβ線などと呼ばれるが、この K や L は励起原子の 内殻空孔を生じた電子の軌道を表している。また蛍光X線分析法では電子線の代わりに放射線核種からのX線やγ線を利用することもできる。さらに放射光施設では、シンクロトロンで 加速した電子を利用して制動放射線のビームを発生させ、そのビームを用いて微小部分の分析が行われる。加速器からの荷電粒子を照射する放射化学分析は、標的核と異なる原子番号の放射性核種が生成することを利用する。生成した 放射性核種を化学分離して低バックグラウンドの放射線測定を行うことにより高純度物質中の極微量の軽元素の分析ができる。例えば、高純度シリコン中の超微量不純物窒素の放射化分析では、陽子を照射して窒素から生成する 11C を用いる。 14N(p,α)11C 反応照射終了後に、試料に担体を加えて、シリコンや他の放射性核種から 11C を化学分離して精製する。荷電粒子 放射化分析では、照射粒子が試料中で停止して、試料が発熱するため、試料の冷却が必要となることが多い。例えば 10 MeV の陽子ビームを 5 μA で試料に照射するとその発熱量は 50 W となる。 解答 試料に1秒間に照射される陽子数は (5×10(-6))/(1.6×10(-19)) 個であり、陽子1個の運動エネルギーは 10 × 10^6 × 1.6 × 10^(-19) J であるため、 発熱量 = (5×10(-6))/(1.6×10(-19) × 10 × 10^6 × 1.6 × 10^(-19) = 50 J/s となる。

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DNAの構成

DNAの構成

放射線の生物作用を理解する上で重要なDNAはデオキシリボースとリン酸と塩基から構成される。デオキシリボースとリン酸は交互に並んで結合し、主鎖を形成する。この鎖が2本、互いに逆向きに並んで二重らせん構造を形成する。塩基にはアデニン(A)、 シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)の4種類があり、向かい合った鎖の A と T、G と C が互いに水素結合で結合している。 A と T の間の水素結合の数は2個であり、G と C との間の水素結合 の数は3個である。正常ヒト2倍体細胞1個のDNAでは、A と T の対、G と C の対が合計で約6 × 10^9 個並んでいる。

ヒトのゲノムは30億塩基対とされており、ここでは2倍体について聞かれているので 6 × 10^9 個となる。通常正常ヒト2倍体細胞は1個当たり46本の染色体があり、6 × 10^9 個の塩基対がある。

電離放射線によって引き起こされるDNA損傷には、塩基損傷、塩基遊離、架橋形成、1本鎖切断、2本鎖切断などがある。正常ヒト2倍体細胞に 1Gy の X線を照射すると、細胞1個当たりDNA鎖切断は約1000個、DNA2本鎖切断は約40個生成する。

補足

2009年米国放射線防護学会では、1 mGy で 1 細胞当たり 1 本鎖切断は 1 個、2 本鎖切断は 0.04 個という報告がある。

DNA2本鎖切断が起こると、その近傍において、ヒストンを構成する H2A の一種である H2AX がリン酸化を受けγ-H2AXが生成する。そのため、放射線照射した細胞をγ-H2AXに対する蛍光標識抗体を 用いて染色し、蛍光顕微鏡で観察すると、ドット状に見える。これをγ-H2AXのフォーカスという。このフォーカスを数えることによりDNA2本鎖切断の生成や修復を調べることができる。例えば、DNA2本鎖切断修復酵素の一つであるDNAリガーゼⅣを欠損する細胞に 2 Gy のX線を照射し、2時間後に残っている γ-H2AXのフォーカスを数えると。正常細胞に同様の処置を施した時よりも多い。

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放射性同位元素の壊変の測定

放射性同位元素の壊変の測定に関する記述

放射性同位元素の壊変に際して放出される放射線を計数する場合、測定時間は一定であっても、得られる計数値は統計的に変動する。このような統計的変動を予測する数学的モデルとして、二項分布やこれを簡略化したポアソン分布 などがあるが、これらを適用することは煩雑にすぎるので、観測される計数値が 10 程度以下の少ない場合を除き、実際には正規分布として取り扱うことが多い。なお、この正規分布はガウス分布ともいい、平均値 m を中心に左右対称である。その標準偏差を σ とすると、m-σ から m+σ の間に計算値が入る確率が 68 %であることを意味する。m-2σ から m+2σ の間に計数値が入る確率は 95 %である。m-3σ から m+3σ の間に計数値が入る確率は 99.7 %である。したがって、同じ条件で測定を繰り返した場合、ある計数値が統計的変動によって平均値から ±3σ 以上離れる確率は 0.3 %である。このように、m-kσ から m+kσ の間に計数値が入る確率を信頼水準といい、k のことを包含計数という。

 

放射線測定器により計数を行い、時間 t の間に計数値 N を得たとすれば、その計数値の標準偏差は、 √N であり、計数値の相対標準偏差は 1/√N × 100% である。計数率 r は r = N/t となり、計数率の標準偏差は √N/t である。したがって、最初に線源をおいて時間 t1 の間、計数を行い 計数値 N1 を得た後、次にバックグラウンドを求めるために線源を取り去り、時間 t2 の間、計数を行い計数値 N2 を得たとすれば、バックグラウンドを差し引いた線源からの放射線による計数率 rs は rs = (N1/t1) – (N2/t2) となり、その標準偏差は √((N1/t1^2) + (N2/t2^2)) となる。またその相対標準偏差は √((N1/t1^2) + (N2/t2^2))/[(N1/t1) – (N2/t2)] × 100% である。

 

床面の放射能汚染を検査するため、床面を拭き取ったろ紙をGM計数管で 50s 間測定を行い、計数値 88 を得た。次に、バックグラウンドを求めるため、ろ紙を取り去った後 100s 間計数を行い、計数値 49 を得た。この場合、バックグラウンドを差し引いた計数値は 1.3 s^(-1) と計算され、その標準偏差は 0.20 s^(-1) と推定される。これを 相対標準偏差で表せば、 16 % となる。

 

解説 (88/50) – (49/100) = 1.27

解説 √[(88/50^2) + (49/100^2)] ≒ 0.2

解説 (0.20/1.27) × 100 = 15.7

 

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放射化学分離

放射化学分離について

短半減期の放射性核種の分離では操作時間の短縮が求められる場合がある。例えば、半減期 25 分の 128I の分離について考える。分離法1 では化学収率が 80% で 50 分を要する。これに対して分離法2 の化学収率が 40% とする。分離法2 の所要時間が 25 分だとすると化学分離後の放射能は分離法1 と等しくなる。(半減期 25 分の 128I では、50 分の経過で放射能は 1/4 となる。分離法1 では収率が 80% であるので、化学分離後の 放射能は当初の放射能の 0.25 × 0.8 = 0.2 となる。分離法2 の所要時間を半減期の x 倍とおくと分離法2 では収率が 40% であるから (1/2)^x × 0.4 = 0.2 x = 1 となり、半減期 25 分であるので 25 となる。)放射化学分離では、放射性核種の 化学的状態を変化させて別の相とし、相分離で目的成分を得ることがしばしば行われる。沈殿分離法がその典型である。この場合、目的核種と沈殿を形成する試薬を添加することで水に難容な個体沈殿を形成し、これにろ過や遠心分離 などで固体と液体に分離して放射性核種を回収する。沈殿分離法と類似した方法に共沈分離法がある。沈殿生成に伴って溶液中の放射性核種を沈殿に取り込み、水溶液から分離する。鉛、スズ及びアンチモンの放射性核種を塩酸酸性溶液から同時に共沈する CuS がある。また (32PO4)3- と (35SO4)2- の共存する水溶液から (32PO4)2- のみが共沈する Fe(OH)3 も知られている。

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外部被ばく線量モニタリング

γ線やX線を使用する作業場での外部被ばく線量モニタリングについての記述

作業場の線量モニタリングに使用される放射線測定器は、固定して使用するエリアモニタと持ち運びが容易なサーベイメータの2種類に大別される。これらの検出器としては、主に、空気電離箱、GM計数管及びNaI(Tl)シンチレーション検出器の3種類が用いられる。 この3種類のうち、空気電離箱では、検出したγ線やX線の数ではなく、γ線やX線で生じる電離電荷を測定して線量を得る。一方、GM計数管では、放電現象に基づいて出力パルスが得られるため電子回路が簡単である反面、不感時間が大きく、 高線量率の場では窒息現象に注意する必要がある。また、NaI(Tl)シンチレーション検出器では、蛍光を光電子増倍管により電気信号に換えて線量を測定するが、プラスチックシンチレーション検出器に比べて、シンチレータの密度や 実行原子番号が大きいため検出効率が高い。しかし、測定範囲の低エネルギー領域ではγ線やX線の相互作用として光電効果の寄与の割合が大きく、空気電離箱に比べてエネルギー依存性が大きくなる。

 

外部被ばく線量の個人モニタリングにおいては、人体に装着して一定時間の被ばく線量を評価するため、一般的に小型で積分型の線量計が用いられる。これらの線量計には測定原理の違いにより、以下のように様々な特性がある。蛍光ガラス線量計は、γ線やX線で生じた 蛍光中心に紫外線レーザーをパルス照射することにより、被ばく線量の情報を繰り返し読み取ることができる。この線量計は、熱アニーリングにより情報を消去して、再使用が可能である。 OSL 線量計では、酸化アルミニウムを素子の主材料とし、 可視光を照射して生じる輝尽発光を読み取ることにより線量を測定する。これらの線量計は、従来用いられてきた臭化銀の感光作用を利用したフィルムバッチに比べ、退行現象が極めて起こりにくい。 TLD は、硫酸カルシウム、フッ化リチウム などを素子の主材料とし、素子を加熱することで生じる蛍光を読み取ることにより、線量を測定する線量計である。一方、電子式ポケット線量計は、小型のGM計数管やSi半導体検出器を検出部に用い、上記の線量計と異なり直読式の線量計として便利であるが、定期的に電池を充電・交換することなどが必要となる。

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