過去問と解説を日々更新していきたいと思います。

下記のサイトに私がまとめた資料を示しております。

https://www.radiologist-study.org

下の解説は一部なのでまとめたものが欲しい方は上記サイトまで。

個人線量計について

個人線量測定に用いる線量計には、受動型線量計と能動型線量計があり、いずれも体表面に密着させて測定できるように工夫されている。受動型線量計では、一定期間を経て検出素子に蓄積された線量情報を読み取り、積算線量を測定する。かつてはフィルムバッチが主流であったが近年は発光現象に基づいた線量計に代わっている。蛍光ガラス線量計ではγ線照射により形成された蛍光中心をパルス 紫外線で励起することで生じる発光を利用している。同様に発光現象に基づくが、光刺激による発光(輝尽発光)を利用するOSL線量計がある。その他に原理的に空気の電離量に基づくが低い線量まで使用できるDIS線量計がある。能動型線量計にはシリコン半導体検出器を用いた電子式線量計が多く、測定中においても積算線量や線量率を読み取ることができ 警報付線量計としても使用できる。

外部被ばく個人モニタリング

外部被ばくの個人モニタリンぎは、身体に着用した個人線量計を用いて行われ、その実用量である個人線量当量は、人体上の指定された点の適切な深さ d における線量当量である。ICRP 2007年勧告では実効線量の評価には深さ d = 10 mm、皮膚及び手足の等価線量の評価 には深さ d = 0.07 mmが勧告された。眼の水晶体の等価線量については、評価が必要な特別な場合には深さ d = 3 mmが適切と提案しながらも、測定機器が非常に少なく実際上ほとんど使用されておらず、他の実用量を用いてモニタリングの目的である線量限度の担保を達成できるとしていた。しかし、ICRP Pub1 118(2012)に掲載された組織反応に関する ICRP生命において、眼の水晶体の職業被ばくの等価線量限度を ICRP 2007年勧告で用いられていた1年間につき 150 mSv から5年間の年間平均で年 20 mSv(年最大50mSv)へ変更する勧告がなされ他の実用量で線質限度を担保することが難しくなった。そのため国際的に深さ d = 3 mmにおける線量当量の測定 手法や機器の検討が進められている。外部被ばくの治療としては、全身被ばく線量が概ね 3 Gy 以上では感染症対策として無菌室での治療、抗生剤・造血サイトカインの投与、成分輸血などが行われる。8 Gy 以上の線量では、造血幹細胞移植を考慮する。造血幹細胞移植には骨髄移植、抹消血幹細胞移植、臍帯血幹細胞移植の3種類がある。 骨髄移植はドナーから骨髄を採取し移植に用いるものである。末梢血幹細胞移植は G-CSF を 4 ~ 6日間連日投与した上で末梢血から造血幹細胞を採取し移植に用いるものである。臍帯血幹細胞移植は臍帯血幹細胞に含まれる幹細胞を移植に用いるものである。 臍帯血幹細胞移植は他の移植法に比べ移植片対宿主病(GVHD)が起こりにくい利点があり、6個のヒト白血球抗原(HLA)のうち2個が不適合であっても移植が可能であり、しかも移植までの時間が短くてすむことから、外部被ばくでも造血幹細胞移植には最も利用しやすい。

内部被ばくの線量評価

内部被ばくの線量評価は、体表面汚染の程度と部位、鼻スミアなどを参考として、ホールボディカウンタ(WBC)などの体外計測法や尿や便を採取して行うバイオアッセイ法によって行う。尿や便の採取は1日に排泄された全量を 3 ~ 7 日間程度採取し計測に用いる。外部被ばくの有無や被ばく線量を初期に判断するためには、臨床症状、抹消血中のリンパ球、好中球、 アミラーゼ、末梢血、リンパ球中の染色体異常(主に二動原体染色体)などから総合的に判断する。嘔吐は 1 Gy 以上の被ばくで2時間以内に生じ、線量が高くなるほど発現頻度は高くなり、被ばくから発症までの時間は短くなる。リンパ球数は24時間以内に線量依存的に減少し好中球数は24時間以内に 線量依存的に増加する。アミラーゼは唾液腺が被ばくした場合における唾液腺からの逸脱酵素で唾液腺被ばくにより24時間以内に線量依存的に増加する。内部汚染の治療では、一般に経口摂取の場合には胃洗浄、催吐剤、緩下材の投与を行い、吸収摂取の場合には去痰剤や喀痰への排出を促進するための薬剤の吸入を行う。セシウムによる内部汚染の治療ではプルシアンブルーが経口薬として用いられる。 プルシアンブルーは放射性タリウムによる内部汚染の治療にも用いる。プルトニウムやアメリシウムなどの除去にはジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が用いられる。プルトニウムやアメリシウムの体内汚染が吸入によって起こった場合にはネブライザーを用いてジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を吸入投与することもある。



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