元素組成分析法
物質中の原子を励起して、その原子が放出する光子を元素分析法に用いることができる。例えば、X線発生装置からのX線や数十 keV に加速した電子線を試料に照射すると、励起原子から線 スペクトルとして元素に固有な特性X線が放出される。これを測定する蛍光X線分析法は、試料中の多種類の元素を非破壊的に同時に定量することができる。特性X線は Kα線や Lβ線などと呼ばれるが、この K や L は励起原子の 内殻空孔を生じた電子の軌道を表している。また蛍光X線分析法では電子線の代わりに放射線核種からのX線やγ線を利用することもできる。さらに放射光施設では、シンクロトロンで 加速した電子を利用して制動放射線のビームを発生させ、そのビームを用いて微小部分の分析が行われる。加速器からの荷電粒子を照射する放射化学分析は、標的核と異なる原子番号の放射性核種が生成することを利用する。生成した 放射性核種を化学分離して低バックグラウンドの放射線測定を行うことにより高純度物質中の極微量の軽元素の分析ができる。例えば、高純度シリコン中の超微量不純物窒素の放射化分析では、陽子を照射して窒素から生成する 11C を用いる。 14N(p,α)11C 反応照射終了後に、試料に担体を加えて、シリコンや他の放射性核種から 11C を化学分離して精製する。荷電粒子 放射化分析では、照射粒子が試料中で停止して、試料が発熱するため、試料の冷却が必要となることが多い。例えば 10 MeV の陽子ビームを 5 μA で試料に照射するとその発熱量は 50 W となる。 解答 試料に1秒間に照射される陽子数は (5×10(-6))/(1.6×10(-19)) 個であり、陽子1個の運動エネルギーは 10 × 10^6 × 1.6 × 10^(-19) J であるため、 発熱量 = (5×10(-6))/(1.6×10(-19) × 10 × 10^6 × 1.6 × 10^(-19) = 50 J/s となる。
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