問1

次の核種について、半減期の短い順に正しく並んでいるものは次のうちどれか。

1 131I < 33P < 35S < 45Ca < 3H

2 131I < 35S < 45Ca < 33P < 3H

3 33P < 131I < 35S < 45Ca < 3H

4 3H < 131I 33P < 35S < 45Ca

5 33P < 35S < 45Ca < 3H < 131I

解答 1

少なくとも覚えておいた方が良い放射性同位体特性表を下記に示す。

放射性同位体特性表

核種 半減期 β線のエネルギー(MeV) γ線(X線)エネルギー(MeV) 壊変形式 用途
3H 12.3y 0.02  ー β-  ー
11C 20.4m 0.96 (0.51) β+ , EC  ー
14C 5730y 0.16  ー β-  厚さ計(使われることは少ない)
13N 10.0m 1.20  ー β+  ー
15O 2.0m 1.73 (0.51) β+ , EC  ー
18F 110m 0.63 (0.51) β+ , EC  ー
22Na 2.6y 0.55 1.28,(0.51) β+ , EC  ー
24Na 15.0h 1.39 1.37,2.75 β-  ー
30P 2.5m 3.2  ー β+ , EC  ー
32P 14.3d 1.71  ー β-  ー
33P 25d  ー 0.25 β-  ー
35S 87.5d 0.17  ー β-  ー
42K 12.4h 2.00,3.52 1.52 β-  ー
43K 22.3h 0.83 0.32,0.62 β-  ー
45Ca 164d 0.26  ー β-  ー
47Ca 4.5d 0.69 1.30 β-  ー
51Cr 27.7d  ー 0.32 EC  ー
54Mn 312d  ー 0.83 EC  ー
52Fe 8.3h 0.80 (0.51) β+ , EC  ー
59Fe 44.6d 0.47,0.27 1.10,1.29 β-  ー
57Co 271d  ー 0.12,0.14 EC  メスバウア線源
58Co 70.8d 0.48 0.81(0.51) β+ , EC  ー
60Co 5.3y 0.32 1.17,1.33 β-  密度計、レベル計、厚さ計・・・γ線を使用
62Cu 9.7m 2.93 1.17,0.88 β+ , EC  ー
67Ni 100y 0.067  ー β-  ガスクロマトECD検出器用線源
67Ga 3.3d  ー 0.09,0.19 EC  ー
68Ga 1.1h 1.90,0.82 1.08,(0.51) β+ , EC  ー
68Ge 271d  ー 0.009 EC  ー
75Se 120d  ー 0.27,0.14 EC  ー
75Br 98m  ー (0.51),1.7 β+ , EC  ー
76Br 16.2h  ー (0.51),3.6 β+ , EC  ー
82Br 35.3h 0.44 0.78,0.55 β-  ー
81mKr 13s  ー 0.19 IT  ー
85Kr 10.7y 0.69 0.51 β-  厚さ計(よく使われる核種)
81Rb 4.6h 1.05 0.45(0.51) β+ , EC  ー
82Rb 1.3m 3.15 0.78 β+ , EC  ー
86Rb 18.8d 1.77,0.70 1.08 β-  ー
85Sr 64.8d  ー 0.51 EC  ー
87mSr 2.8h  ー 0.39 IT,EC  ー
90Sr 28.8y 0.55  ー β-  厚さ計、タバコ量目計
87Y 80.3h 0.45 0.49 β+ , EC  ー
90Y 64.1 2.28  ー β-  ー
98Mo 66.0h 1.23,0.44 0.74,0.18 β-  ー
99mTc 6.0h  ー 0.14 IT  蛍光X線線源
109Cd 463d  ー 0.222 EC  ー
111In 2.8d  ー 0.17,0.25 EC  ー
113mIn 1.7h  ー 0.39 IT  ー
113Sn 115.1d  ー 0.26 EC  ー
123I 13.2h  ー 0.159 EC インビボ検査(脳血流・甲状腺機能・心機能)、チンチグラム、SPECT
124I 4.2d 1.53,2.14 0.60 β+ , EC  ー
125I 60.1d  ー 0.036 EC インビトロ検査(ホルモン、腫瘍関連抗原などで診断)、ラジオイムノアッセイ(臨床分析においてタンパク質の標識)、前立腺癌 125I挿入小線源療法(125I を密封したシードを前立腺内に永久挿入)
128I 25.0分  ー  ー β+ , β- , EC ホットアトム(ヨウ素原子を熱中性子で照射) 127I (n,γ) 128I → γ線放射、中性子放射化分析において高感度
129I 1.57×10^7y  ー 0.038 β-  ー
131I 8.0d 0.61 0.36 β- 甲状腺治療及び診断(甲状腺機能亢進症)
132I 2.3h 1.19,2.14 0.67,0.77 β-  ー
133Xe 5.3d 0.35 0.08 β-  ー
133mXe 2.2d  ー 0.23 IT  ー
131Cs 9.7d  ー 0.03,0.004 EC  ー
137Cs 30y 0.51 0.66 β-  密度計、レベル計、厚さ計
137mBa 2.6m  ー 0.66 IT  ー
140La 40.2h 1.35 1.60,0.49 β-  ー
141Ce 32.5d 0.44 0.15 β-  ー
147Pm 2.6y 0.224  ー β-  厚さ計
192Ir 74.2d 0.54,0.67 0.32,0.47 β-,EC  非破壊検査
198Au 2.7d 0.96 0.41 β-  ー
197Hg 64.1h  ー 0.08 EC  ー
201Tl 73.0h  ー 0.17,0.14 EC  ー
204Tl 3.8y 0.764 β-,EC  厚さ計
203Pb 52.0h  ー 0.28 β-  ー
210Po 140d α線6.0  ー α  煙感知器、静電除去
222Rn 3.8d α線5.5 0.51 α  ー
226Ra 1622y α線4.8 0.19 α  ー
241Am 400y α線6.0 0.06 α  煙感知器、静電除去・・・α線。蛍光X線、硫黄計、厚さ計・・・γ線
252Cf 2.6y α線6.12 0.04 α,SF  中性子水分計

問2

次の質量数順に並べられた核種のうち、放射性核種、安定核種、放射性核種の順に並んでいるものの組み合わせはどれか。

A 22Na 23Na 24Na

B 26Al 27Al 28Al

C 35Cl 36Cl 37Cl

D 50Cr 51Cr 52Cr

1 ABCのみ 2 ABのみ 3 ADのみ 4 CDのみ 5 BCDのみ

解答 2 安定核種を下に示す。

A 正 安定核種 23Na のみ

B 正 安定核種 27Al のみ

C 誤 安定核種 35Cl、37Cl の 2 核種

D 誤 安定核種 53Cr、54Cr の 2 核種

問3

β- 壊変に続いてγ線を放出する核種として、正しいものの組み合わせは次のうちどれか。

A 33P

B 60Co

C 90Y

D 131I

E 192Ir

1 ABDのみ 2 ABDのみ 3 ACEのみ 4 BDEのみ 5 CDEのみ

 

解答 4

問 1 の解説に載せている放射性同位体特性表を覚えておくと良い。

問4

ある核種の放射能が、4 時間後に 30000 dpm、6 時間後に 7500 dpm であった。初めにあった放射能[Bq]として、最も近い値は次のうちどれか。

1 8.0 × 10^3

2 1.6 × 10^4

3 4.8 × 10^4

4 8.0 × 10^4

5 4.8 × 10^5

 

解答 1

4 時間後と 6 時間後の dpm を比較すると、7500/30000 = 1/4 = (1/2)^2 となり、この核種は 2 時間が 2 半減期に相当することがわかる。すなわち半減期は 1 時間ということがわかる。初めの時点から 4 半減期経過した 4 時間後に 30000 dpm であることから、始めにあった放射能は、30000[dpm]/(1/2)^4 = 480000[dpm] = 480000[dpm]/60[sec/min] = 8000[Bq]

問5

32P、177Lu をそれぞれ 1 kBq を含む 10 ml の水溶液がある。2 週間後の 32P/177Lu の原子数比として、最も適切なものは次のうちどれか。ただし、32P、177Lu の半減期をそれぞれ 14 日、7 日とする。

1 1/4

2 1/2

3 1

4 2

5 4

解答 5

半減期を T、原子数を N とすると、放射能 A は A = 0.693N/T と表されるため、N = AT/0.693 となり、原子数 N は放射能と半減期の積 AT に比例することがわかる。2 週間後には、32P は 1 半減期経過しているため放射能は 1/2 になっている。177Lu は 2 半減期経過しており、比放射能は (1/2)^2 = 1/4 になっている。よって、(32P の AT)/(177Lu の AT) を求めると、(1/2 × 14)/(1/4 × 7) = 4 となる。

問6

放射能の等しい 55Fe(半減期 1000 日)と 106Ru(半減期 374 日)がある時、それらの質量の比 (55Fe/106Ru) に最も近いものは、次のうちどれか。

1 0.37

2 0.72

3 1.4

4 2.7

5 5.2

 

解答 3

半減期を T、原子数を N とすると、放射能 A は A = 0.693N/T と表されるため、N = AT/0.693 となり、原子数 N は放射能が等しい場合には半減期 T に比例することがわかる。一方質量数 x の原子を 1 mol(6.0 × 10^23 個)集めると x g の質量になることから、原子数が等しければ質量は質量数に比例する。よって質量の比は、(55Fe/106Ru) = (55Fe の T × 55)/(106Ru の T × 106) = (1000×55)/(374×106) = 1.39 となる。

問7

140Ba は半減期 12.8 日で β- 壊変して 140La(半減期 1.68 日)は β- 壊変して 140Ce(安定)になる。この逐次壊変で、140La を分離除去した 140Ba から生成する 140La の放射能が最大となる時を t(max) とすると、次の記述のうち正しいものの組み合わせはどれか。

A t(max) では、140La の生成速度と壊変速度は等しい。

B t(max) では、140La の放射能は 140Ba の放射能に等しい。

C t(max) の後は、140La の放射能は 140Ba の放射能を常に上回る。

D t(max) の後は、140La の放射能は次第に半減期 12.8 日で減衰するようになる。

1 ABCのみ 2 ABDのみ 3 ACDのみ 4 BCDのみ 5 ABCDすべて

解答 5

過度平衡についての記述を下記に示す。

過度平衡

半減期 T1 (壊変定数 λ1)の核種1 が放射性壊変して生成する核種2 が放射性でさらに半減期 T2 (壊変定数 λ2)で壊変して核種3 となる時。

核種1 から核種2 を分離してからの時間 t により、核種1 の原子数 N1 と 核種2 の原子数 N2 は次のようになる。

dN1/dt = -(N1λ1)

dN2/dt = λ1N1 – λ2N2・・・N2 の時間変化は親核種の壊変速度と娘核種の壊変速度の差である。t(max) となるのは dN^2/dt = 0 の時で娘核種生成速度 = 娘核種壊変速度

分離時の t = 0 において N1 = N1^0、N2 = 0 とするとその後の原子数は
N1 = N1^0 exp(-λ1 t)
N2 = λ1/(λ2-λ1) × N1^0(exp(-λ1t) – exp(-λ2t)) となり、それぞれの放射能 A1とA2 は、λ1N1^0 = A1^0として

A1 = A1^0 exp(-λ1t)

A2 = λ2/(λ2-λ1) × A1^0(exp(-λ1t) – exp(-λ2t)) と示される。

また、t(max) の後以下の関係が成り立つ。
N2/N1 = λ1/(λ2-λ1)
A2/A1 = (N2λ2)/(N1λ1) = 1 + (N2λ1)/(N1λ1) = 1 + N2/N1 となり、A2/A1 > 1 となり、t(max) 後は A2 > A1 となる。

ここで 140Ba(12.8日) → 140La(1.68日) → 140Ce(安定)の場合を考える。
① 分離精製した 140Ba を放置すると 140La の放射能が最大となるまでに、140La と 140Ba の放射能の和に極大が現れる。
② 分離精製した 140Ba を放置すると、140La の放射能が最大となるとき、140La と 140Ba の放射能は等しくなる。
③ 分離精製した 140Ba を放置すると、140La の放射能は最大になった後、次第に半減期 12.8 日で減衰する。
④ 140Ba,140La,140Ce の原子数の総和は一定である。

過度平衡で成り立つ式・・・N2/N1 = λ1/(λ2-λ1) = T2/(T2-T1)。また A2/A1 = λ2/(λ2-λ1) = T2/(T1-T2)

永続平衡で成り立つ式・・・N2/N1 = λ1/λ2。

親核種である 140Ba の原子数を N(1)、壊変定数を λ(1)、娘核種である 140La の原子数を N(2) 、壊変定数を λ(2) とする。また、140Ba の放射能を A(1)、140La の放射能を A(2) とする。

A 正 N(2) の時間変化は、親核種の壊変速度と娘核種の壊変速度の差であるので、次のように表される。dN(2)/dt = λ(1)N(1) – λ(2)N(2)。また、親核種の壊変は娘核種の生成を意味する。t(max) となるのは、dN(2)/dt = 0 の時であるので、娘核種の生成速度 = 娘核種の壊変速度となる。

B 正 親核種の壊変により娘核種が生成する。t(max) の前は親核種の放射能 A(1) の方が大きいが、t(max) を境に逆転する。

C 正 t(max) の後は次の関係が成り立つ。N2/N1 = λ1/(λ2-λ1)。A2/A1 = (N2λ2)/(N1λ1) = 1 + (N2λ1)/(N1λ1) = 1 + N2/N1 となり、A2/A1 > 1 となり、t(max) 後は A2 > A1 となる。

D 正 t(max) の後十分な時間がたつと、娘核種 2 の放射能は親核種の半減期 T(1) で減衰するようになる。

問8

ある放射性核種 A の半減期は 60 分で、36 % は α壊変して核種 B になり、64 % は β- 壊変して核種 C になる。α壊変の部分半減期 T(α)[分]、β- 壊変の部分半減期 T(β-)[分]の正しい組み合わせ(T(α) , T(β-))はどれか。

1 (85 , 188)

2 (94 , 167)

3 (134 , 106)

4 (167 , 94)

5 (200 , 85)

解答 4

部分半減期 T(n) は、全半減期をその分岐比で割ったものである。よって、α壊変の半減期は 60/0.36 = 167 分、β- 壊変の半減期は、60/0.64 = 94 分 となる。

問9

次の核反応のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

A 11B(n,p)11C

B 20Ne(d,α)18F

C 32S(p,n)32P

D 54Fe(n,p)54Mn

1 AとB 2 AとC 3 AとD 4 BとC 5 BとD

解答 5

壊変の計算なので計算ミスをしなければ解ける問題である。

問10

次の核反応のうち、17 族元素(ハロゲン)の同位体を生成するものの組み合わせはどれか。

A 18O(p, n)

B 35Cl(n,γ)

C 76Se(d,n)

D 124Xe(n,p)

1 ABCのみ 2 ABDのみ 3 ACDのみ 4 BCDのみ 5 ABCDすべて

解答 5

壊変の計算を行いつつ、周期表を覚えておかないといけない問題である。

問11

原子炉で Cu を 12.7 時間熱中性子照射した。照射終了直後の 64Cu と 66Cu の放射能の比 A(64Cu)/A(66Cu) として最も近い値はどれか。ただし、(n,γ)反応のみが起こるとする。

標的核 存在率(%) (n,γ)反応断面積(barn) 生成核 半減期
63Cu 70 4.5 64Cu 12.7 時間
65Cu 30 2.2 66Cu 5.1 分

1 0.1

2 0.4

3 1.2

4 2.4

5 4.3

解答 4

中性子照射によって生成する放射性核種の放射能 A は、ターゲット核の数 n、照射粒子フルエンス率 f、反応断面積 σ、生成核の半減期 T、照射時間 t とすると、次のような関係がある。A = nfσ[1 – (1/2)^(t/T)]。12.7 時間の中性子照射で、半減期 12.7 時間の 64Cu の放射能は、A(64Cu) = 4.5 × 0.7 × f[1 – (1/2)^(12.7/12.7)] となり、半減期 5.1 分の 66Cu の放射能は、A(66Cu) = 2.2 × 0.3 × f[1 – (1/2)^(12.7×60/5.1)] となる。半減期に比べて 照射時間が十分長いため、飽和係数の [1 – (1/2)(12.7×60/5.1)] は、A(64Cu)/A(66Cu) = (4.5 × 0.7 × 0.5)/(2.2 × 0.3) = 2.4 となる。

問12

核医学診断で用いられる 67Ga に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

A ガリウム(Ga)の原子炉中性子照射による(n.γ)反応で製造される。

B β- 壊変する。

C EC 壊変して、Zn の特性 X 線を放出する。

D シンチグラフィに用いられる。

1 AとC 2 AとD 3 BとC 4 BとD 5 CとD

解答 5

A 誤 67Ga を製造する方法は、68Zn(p,2n) 反応、66Zn(d,n) 反応、65Cu(α,2n) 反応、63Cu(α,γ) 反応で行う。

B 誤 67Ga は EC 壊変であるため、β- 壊変はしない。

C 正

D 正

問13

放射性元素に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

A テクネチウム(Tc)は、モリブデン(Mo)と同族元素である。

B プロメチウム(Pm)は、ランタノイドに属する。

C ラジウム(Ra)は、アクチノイドに属する。

D アスタチン(At)は、17 族元素(ハロゲン)である。

1 AとB 2 AとC 3 AとD 4 BとC 5 BとD

解答 5

これは周期表を覚えておかないと解けない問題である。

問14

次のトリチウム水を含む各水溶液に白金電極を入れて電気分解したとき、陰極(電池の負極を接続した極)でトリチウムを含む水素ガスが発生するものの組み合わせはどれか。

A 希硫酸

B 水酸化ナトリウム水溶液

C 硫酸銅(Ⅱ)水溶液

D 塩化ナトリウム水溶液

1 ABCのみ 2 ABDのみ 3 ACDのみ 4 BCDのみ 5 ABCDすべて

解答 2

純粋は電気を通さないため、水の電気分解は少量の化合物を溶解させて行う。主な金属のイオン化傾向は次の通りである。K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > H > Cu > Hg > Ag > Pt >Au イオン化傾向の小さい元素は、イオンではなく金属の方が安定である。

A 正 H = H 陰極から水素ガスが発生する。

B 正 Na > H 陰極から水素ガスが発生する。

C 誤 Cu < H 陰極には銅が析出する。

D 正 Na > H 陰極から水素ガスが発生する。

問15

次の核種のうち、Si(Li) 検出器により同定されるものはどれか。

1 3H

2 33P

3 55Fe

4 90Sr

5 210Po

解答 3

Si(Li)検出器は、低エネルギーX線を高分解能で測定する検出器である。55Fe は EC 壊変核種であり、放出される 58.6 keV と 64.5 keV の Mn の特性 X 線を測定する。β- 壊変する 3H、33P、90Sr-90Y や α壊変する 210Po は検出できない。

問16

トリウム系列、ウラン系列、アクチニウム系列に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

A 半減期の最も長い Ra の同位体は、ウラン系列に属する。

B 半減期の最も長い Rn の同位体は、トリウム系列に属する。

C 235U は、アクチニウム系列に属する。

D 3 系列とも最終壊変生成物は、Pb の安定同位体である。

1 ABCのみ 2 ABDのみ 3 ACDのみ 4 BCDのみ 5 ABCDすべて

解答 3

放射性連鎖崩壊(一次放射性崩壊)を下に示す。

放射性連鎖崩壊(一次放射性崩壊)

トリウム系列(4n)・・・232Th – 1.4×10^10 y – 208Pb
ネプチニウム系列(4n+1)・・・237Np – 2.1×10^6 y – 209Bi
ウラン系列(4n+2)・・・238U – 4.5×10^9 y – 206Pb
アクチニウム(4n+3)・・・235U – 7.1×10^8 y – 207Pb

A 正 半減期の最も長い Ra の同位体は 226Ra(半減期 1600 年)であり、ウラン系列に属する。

B 誤 半減期の最も長い Rn の同位体は 222Rn(半減期 3.8 日)であり、ウラン系列に属する。トリウム系列の Rn の同位体は 220Rn で、半減期は 56 秒である。

C 正 235U は、一次天然放射性核種であり、アクチニウム系列を作る。

D 正 いずれの系列も、最終壊変生成物は Pb である。

問17

40K に関する記述として誤っているものは、次のうちどれか。

1 天然のカリウムでは 40K の同位体存在度は約 0.01 % である。

2 半減期は 10 億年より長い。

3 β- 壊変して 40Ar が生成する。

4 岩石中の 40K と 40Ar の存在量からその岩石の生成年代が推定できる。

5 体重 60 kg の成人男性では、 40K はおおよそ 4 kBq 含まれている。

解答 3

1 正 天然のカリウム中の 40K の同位体存在度は 0.0117 % であることが知られている。

2 正 40K の半減期は 約 12.8 億年である。

3 誤 40K が β- 壊変して生成する核種は 40Ca である。40Ar は 40K の EC 壊変により生成する。

4 正 放射能を利用した年代測定法としてカリウムーアルゴン(40K – 40Ar)法が用いられている。

5 正 人体は平均 0.2 重量 % のカリウムを含み、その中の 40K が人体へ 0.2 mSv/年の被ばくをもたらしている。

問18

次の物質に希硫酸を加えたときに、放射性の気体が発生するものの組み合わせはどれか。

A Na(36Cl)

B Na2(35S)

C Na2(14CO3)

D Na2(35SO4)

1 AとB 2 AとC 3 AとD 4 BとC 5 BとD

解答 4

A 誤 希硫酸では、塩化ナトリウムとの反応は起こらない。

B 正 次のような反応が起きる。Na2(35S) + H2SO4 → Na2(SO4) + H2(35S)↑ 35S を含む H2(35S) 気体が発生する。

C 正 次のような反応が起きる。Na2(14CO2) + H2(SO4) → Na2(35SO4) + 14CO2↑ + H2O 14C を含む 14CO2 気体が発生する。

D 誤 硫酸ナトリウムと希硫酸は化学反応しない。

問19

担体を含む 45CaCl2 水溶液に次の水溶液を加えたとき、放射性の沈殿を生じるものの組み合わせはどれか。

A 希硫酸

B 水酸化ナトリウム水溶液

C アンモニア水

D 炭酸ナトリウム水溶液

1 ABCのみ 2 ABDのみ 3 ACDのみ 4 BCDのみ 5 ABCDすべて

解答 2

A 正 次のような反応が起きる。45CaCl2 + H2(SO4) → 45CaSO4↓ + 2(HCl) 45Ca を含む硫酸カルシウムが沈殿する。

B 正 次のような反応が起きる。45CaCl2 + 2(NaOH) → 45Ca(OH)2↓ + 2(NaCl) 45Ca を含む水酸化カルシウムが沈殿する。

C 誤 次のような反応が起き、塩化カルシウム八アンモニア付加物ができる。付加物は不安定な構造で、塩化カルシウム四アンモニア付加物とアンモニアとの平衡状態となっており、沈殿を形成しない。45CaCl2 + 8(NH3) → 45CaCl2・8(NH3) ⇄ 45CaCl2・4(NH3) + 4(NH3)

D 正 次のような反応が起きる。45CaCl2 + Na2(CO3) → 2(NaCl) + 45CaCO3↓ 45Ca を含む炭酸カルシウムが沈殿する。

問20

[64Cu]CuSO4 と [65Zn]ZnSO4 を含む水溶液に、表面を研磨した鉄板、銅板、亜鉛板をそれぞれ入れた場合に生じる反応として、正しいものの組み合わせは次のうちどれか。

A 鉄板に 65Zn が析出する。

B 鉄板に 64Cu が析出する。

C 銅板に 65Zn が析出する。

D 亜鉛板に 64Cu が析出する。

1 AとB 2 AとC 3 AとD 4 BとC 5 BとD

解答 5 金属が陽イオンになろうとする性質のことをイオン化傾向と呼ぶ。イオン化傾向の小さい元素は、イオンではなく金属の方が安定である。よって、水溶液中の金属元素よりも金属板の元素のイオン化傾向が高いときに、金属板に水溶液中の金属元素が析出する。主な金属のイオン化傾向は次の通りである。K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > H > Cu > Hg > Ag > Pt >Au

A 誤

B 正 鉄板に 64Cu が析出する。

C 誤

D 正 亜鉛板に 64Cu が析出する。

問21

50 kBq/mg の[14C]CaCO3 10 mg を酸と反応させて [14C]CO2 を発生させた。この [14C]CO2 の 0 ℃、1 気圧での放射能濃度[Bq/mL]に最も近い値は、次のうちどれか。ただし CaCO3 の式量は 100、CO2 の分子量は 44、0 ℃、1 気圧での気体の体積を 22.4 L/mol とする。

1 5.0 × 10^4

2 2.2 × 10^5

3 5.0 × 10^5

4 2.2 × 10^6

5 5.0 × 10^6

解答 2

50 kBq/mg の 14CaCO3 10 mg は、50 × 10 = 500 kBq である。反応前後の分子数の変化を考える。例えば、14CaCO3 と塩酸が反応して 14CO2 を発生する反応式は次のようになる。Ca(14CO3) + 2(HCl) → CaCl2 + 14CO2↑ + H2O 14C は全て CO2 になり、Ca(14CO3) と 14CO2 の分子数は反応前後で等しいことかがわかる。14Ca(CO3) の 10 mg は、10 × 10^(-3)[g]/100[g/mol] = 1 × 10^(-4)[mol] であるので、反応後の 14CO2 も 1 × 10^(-4) mol となる。よって、14CO2 の体積は、22.4[L/mol] × 1 × 10^(-4)[mol] = 2.24 × 10^(-3)[L] となる。以上から、求める放射能濃度は、(500×10^3[Bq])/(2.24×10^(-3)×10^3)[mL] = 2.2 × 10^5[Bq/mL] となる。

問22

64Cu(2+)、89Sr(2+)、110mAg(+) の各金属イオンの担体を含む硝酸酸性溶液に、希塩酸を加えて生成した沈殿 A をろ別する。残った溶液に硫化水素ガスを通し、生成した沈殿 B をろ別し、ろ液を C とする。A、B、C それぞれに主として含まれる核種の組み合わせとして、正しいものは次のうちどれか。

沈殿 A 沈殿 B ろ液 C

1 64Cu 110mAg 89Sr

2 64Cu 89Sr 110mAg

3 89Sr 64Cu 110mAg

4 110mAg 89Sr 64Cu

5 110mAg 64Cu 89Sr

解答 5 下記の表を覚えておくと良い。

問23

有機相と水相との分配比が 50 の放射性の化学種があり、その化学種を含む水溶液の放射能は 100 MBq である。水相と等容積の有機相で溶媒抽出した場合に、水相に残る放射能[MBq]として最も近い値は、次のうちどれか。

1 0.1

2 0.2

3 0.5

4 1.0

5 2.0

解答 5

有機相への抽出率 E、分配比を D、有機相の体積を V(0)、水相の体積を V(W) とすると、次のような式で表される。E = D/[D + (V(W)/V(0))]。代入すると E = 50/[50 + (1/1)] = 50/51 となるため、有機相への全体の 50/51 が抽出されることになり、水相には 100 MBq × [1 – (50/51)] = 2.0 MBq が残る。

問24

標識化合物に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

A 均一標識化合物はすべての位置の原子が均一に標識されているものをいう。

B 特定標識化合物は特定の化合物のみが標識されているものをいう。

C 放射化学的純度とは標識化合物の全放射能に対して特定の化学種に標識されているものの割合をいう。

D 放射性核種純度とは着目する放射性核種がある特定の化学種の放射能に占める割合をいう。

1 AとB 2 AとC 3 AとD 4 BとC 5 BとD

 

解答 2

標識化合物

化合物の一部または全部の元素が放射性同位体と置き換えられたものをいう。標識の位置によって特定標識化合物、名目標識化合物、全般標識化合物、均一標識化合物がある。

○ 特定標識化合物・・・特定の位置の原子だけが標識される。[1-14C]チミン、[6-3H]ウラシルのように標識位置を明記している。

○ 名目標識化合物・・・特定の位置の大部分が標識されているが、その他の位置の原子も標識され分布比が明確ではない。[9-10-3H(N)]オレイン酸のようにN-を付ける。

○ 均一標識化合物・・・全ての位置の原子が均一に標識されている。[U-14C]のようにU-を付ける。

○ 全般標識化合物・・・全ての位置の原子が全般的に標識されているが分布が均一ではなく分布比も明確ではない。[G-14C]メチオニンのようにG-を付ける。

標識化合物の保管方法は、① 比放射能を低くする。② 放射能の濃度を低くする。③ 少量ずつ分けて保管する。④ 強いエネルギーのβ放出体やγ放出体などとは一緒に置かない。⑤ 有機溶液はラジカルスカベンジャー を加えて加水分解を防ぐ。ラジカルスカベンジャーはエタノールやベンジルアルコールを加えて約 2℃ で保管する。

放射化学的純度

特定の化学形の放射能が、全放射能に対して占める割合。比放射能測定から放射性化合物の質量を定量する方法を同位体希釈分析法ともよび次式で求める。

放射化学的純度 = (特定の化学形の放射能/全放射能) × 100

放射性核種純度

放射性核種純度とは、化学形とは関係なく着目する放射性核種がその物質の全放射能に占める割合をいう。

問25

14CH3(COOH) とサリチル酸を、硫酸を触媒として反応させたときの記述として正しいものはどれか。

1 主として 14C 標識アセチルサリチル酸が生成する。

2 12C 標識アセチルサリチル酸と 14C 標識サリチル酸メチルが約 1:1 の割合で生成する。

3 主として 14C 標識サリチル酸メチルが生成する。

4 主として 14C 標識サリチル酸が生成する。

5 主として 14CO2 が生成する。

解答 1

サリチル酸は、フェノール(OH)とカルボン酸(COOH)の両方の性質を持つ酸である。硫酸存在下で酢酸と反応させると、サリチル酸の OH と酢酸の COOH が反応するアセチル化がおきて、アセチルサリチル酸が生成する。サリチル酸と 14C で標識された酢酸との化学反応式は次のようになる。

よって、主として 14C 標識アセチルサリチル酸が生成する。なお、サリチル酸メチルの合成には、サリチル酸とメタノールを化学反応させる。

問26

標識化合物に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

A 同位体希釈法では、目的成分を完全に分離しなくても、その一部を純粋に取り出せれば定量できる。

B 標識化合物の放射化学的純度は、同位体希釈分析法のうち直接希釈法により求めることができる。

C [14C]エタノールの比放射能[Bq/mol]とそれを酸化して得られる[14C]酢酸の比放射能[Bq/mol]は、化学収率によらず等しい。

D ラジオイムノアッセイは、抗原ー抗体反応を利用した分析法である。

1 ACDのみ 2 ABのみ 3 ACのみ 4 BDのみ 5 BCDのみ

解答 1

A 正 同位体希釈法では、一部を純粋に取り出しさえすれば定量できる特徴がある。

B 誤 直接分析法は、非放射性物質の質量を定量する方法である。標識化合物の放射化学純度は、二重希釈法により定量して求める。

C 正 エタノールが酸化され、アセトアルデヒドを経て酢酸になる反応式は、C2H5OH + O2 → CH3(COOH) + H2O エタノールと生成する酢酸の物質量は等しいため、収率によらず比放射能[Bq/mol]が等しくなる。

D 正 ラジオイムノアッセイは、抗原ー抗体反応を利用した分析法であり、一般的に 125I が用いられる。

問27

次の分析法に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

A 加速器質量分析法は短半減期核種の定量分析に有効である。

B 中性子放射化分析法では、γ線計測によって定量分析を行う。

C 3He を入射粒子とする荷電粒子放射化分析法は、半導体中の微量酸素の定量分析に有効である。

D PIXE 法では、内殻電子の励起後に発生する X 線を利用する。

1 ACDのみ 2 ABのみ 3 ACのみ 4 BDのみ 5 BCDのみ

解答 5

様々な質量分析法を下記に示す。

質量分析法

質量分析法には様々な方法がある。

1 加速器質量分析法(AMS)とは、同重体などの除去した特定の原子のみを直接計測する手法であり、長半減期の測定に用いられる。

2 中性子放射化分析(機器中性子放射化分析、INAA)とは、放射化した試料を非破壊のまま測定する方法で分解能の高い半導体検出器と波高分析器を組み合わせることでγ線を測定し多元素同時分析が可能となる。また、中性子放射化分析法では、核反応によって生成した核種から発生するγ線をGe半導体検出器で多元素同時測定するのが一般的である。

3 荷電粒子放射化分析法とは高エネルギーイオンを照射して生成する放射性核種から放出される放射線を計測して目的元素を定量する。3He を入射とする荷電粒子放射化分析法は、半導体中の微量酸素の定量分析に有効である。16O(3He,p)18F の核反応で生成した 18F の放射線を測定することにより半導体中の微量酸素を定量する。

4 PIXE法(荷電粒子励起X線)とは試料にイオンビームを照射して、その際に発生する特性X線を検出して、そのエネルギーと強度から元素を同定・定量する方法である。

5 ラザフォード散乱分析とは、固体試料に水素やヘリウムのビームを照射し、後方に散乱されてくるイオンのエネルギー及び強度を測定して定量する。

6 陽電子消滅法とは材料中に陽電子ビームを打ち込み、電子と衝突して消滅するまでの時間を測定する。大きい空孔ほど消滅するまでの時間が長くなることからそのサイズがわかる。

7 フィッショントラック法(核分裂飛跳法)は、年代測定の1つである 238U の自発核分裂で生じた飛跡を試薬により溶解・拡大させて観察し、飛跡の密度から岩石の年代を測定する。

8 即発γ線分析法とは熱外中性子ビームを試料に照射し、共鳴吸収後に照射される即発γ線を測定することにより非破壊多元素(同位体)分析をする方法。

9 熱中性子を試料に照射し、中性子の透過率を測定することにより、試料中の水分の分布が観測される。

10 中性子回折法とは物質内部の結晶配列や磁気構造の情報を得られる。軽元素と重元素が混合して含まれる物質の軽元素の位置や存在比を決定できる。

11 放射化学的中性子放射化分析(RNAA)とは、放射化した試料を放射科学的に分離・精製したのち測定する方法で、極低濃度の元素の分析や測定ピークに妨害となる核種が含まれている場合、検出感度及び分析値の確率が高い。

問28

次の記述のうち、ホットアトム効果による現象として正しいものの組み合わせはどれか。

A ヨウ化エチルを中性子照射したのち、水を加えて振盪すると放射性ヨウ素が水相中に移った。

B 安息香酸と炭酸リチウムを混合して中性子照射すると、トリチウムで標識された安息香酸が得られた。

C 90Sr を含む Sr(2+) の水溶液をろ過すると、90Y がろ紙に捕集された。

D クロム酸カリウムを中性子照射したのち、水に溶解し陽イオン交換樹脂カラムに流すと 51Cr(3+) が樹脂に捕集された。

1 ABCのみ 2 ABDのみ 3 ACDのみ 4 BCDのみ 5 ABCDすべて

解答 2

A 正 127I(n,γ)128I 反応のγ線の反跳エネルギーによって、C2H5-I の結合が切られたため水相に高放射能の 128I が移行することをホットアトム効果という。

B 正 有機化合物に炭酸リチウムまたは 3He を混合して中性子照射することにより、6Li(n,α)3H または 3He(n,p)3H で生成するホットアトムの 3H によって有機化合物を標識する。これを反跳合成法と呼び、トリチウムの標識化合物が生成する。

C 誤 90Sr は壊変により 90Y を生成する。ろ紙に 90Y が捕集されるのは、ラジオコロイドを形成することによるもので、ホットアトム効果ではない。

D 正 反跳エネルギーにより Cr4(-) イオン中の結合が切られるため、51Cr(3+) イオンが生成する。この反応を利用して高比放射能の 51Cr が (n,γ) 反応によって作られる。

問29

次の放射性同位元素が用いられている分析・計測装置で、利用される放射線が正しいものはどれか。

1 60Co ー レベル計 ー X線

2 63Ni ー ガスクロマトグラフ ー γ線

3 147Pm ー 厚さ計 ー β線

4 241Am ー 蛍光X線分析装置 ー 中性子線

5 252Cf ー 水分計 ー α線

解答 3

各々の核種の用途を下の表に示す。

放射性同位体特性表

 

核種 半減期 β線のエネルギー(MeV) γ線(X線)エネルギー(MeV) 壊変形式 用途
3H 12.3y 0.02  ー β-  ー
11C 20.4m 0.96 (0.51) β+ , EC  ー
14C 5730y 0.16  ー β-  厚さ計(使われることは少ない)
13N 10.0m 1.20  ー β+  ー
15O 2.0m 1.73 (0.51) β+ , EC  ー
18F 110m 0.63 (0.51) β+ , EC  ー
22Na 2.6y 0.55 1.28,(0.51) β+ , EC  ー
24Na 15.0h 1.39 1.37,2.75 β-  ー
30P 2.5m 3.2  ー β+ , EC  ー
32P 14.3d 1.71  ー β-  ー
33P 25d  ー 0.25 β-  ー
35S 87.5d 0.17  ー β-  ー
42K 12.4h 2.00,3.52 1.52 β-  ー
43K 22.3h 0.83 0.32,0.62 β-  ー
45Ca 164d 0.26  ー β-  ー
47Ca 4.5d 0.69 1.30 β-  ー
51Cr 27.7d  ー 0.32 EC  ー
54Mn 312d  ー 0.83 EC  ー
52Fe 8.3h 0.80 (0.51) β+ , EC  ー
59Fe 44.6d 0.47,0.27 1.10,1.29 β-  ー
57Co 271d  ー 0.12,0.14 EC  メスバウア線源
58Co 70.8d 0.48 0.81(0.51) β+ , EC  ー
60Co 5.3y 0.32 1.17,1.33 β-  密度計、レベル計、厚さ計・・・γ線を使用
62Cu 9.7m 2.93 1.17,0.88 β+ , EC  ー
67Ni 100y 0.067  ー β-  ガスクロマトECD検出器用線源
67Ga 3.3d  ー 0.09,0.19 EC  ー
68Ga 1.1h 1.90,0.82 1.08,(0.51) β+ , EC  ー
68Ge 271d  ー 0.009 EC  ー
75Se 120d  ー 0.27,0.14 EC  ー
75Br 98m  ー (0.51),1.7 β+ , EC  ー
76Br 16.2h  ー (0.51),3.6 β+ , EC  ー
82Br 35.3h 0.44 0.78,0.55 β-  ー
81mKr 13s  ー 0.19 IT  ー
85Kr 10.7y 0.69 0.51 β-  厚さ計(よく使われる核種)
81Rb 4.6h 1.05 0.45(0.51) β+ , EC  ー
82Rb 1.3m 3.15 0.78 β+ , EC  ー
86Rb 18.8d 1.77,0.70 1.08 β-  ー
85Sr 64.8d  ー 0.51 EC  ー
87mSr 2.8h  ー 0.39 IT,EC  ー
90Sr 28.8y 0.55  ー β-  厚さ計、タバコ量目計
87Y 80.3h 0.45 0.49 β+ , EC  ー
90Y 64.1 2.28  ー β-  ー
98Mo 66.0h 1.23,0.44 0.74,0.18 β-  ー
99mTc 6.0h  ー 0.14 IT  蛍光X線線源
109Cd 463d  ー 0.222 EC  ー
111In 2.8d  ー 0.17,0.25 EC  ー
113mIn 1.7h  ー 0.39 IT  ー
113Sn 115.1d  ー 0.26 EC  ー
123I 13.2h  ー 0.159 EC インビボ検査(脳血流・甲状腺機能・心機能)、チンチグラム、SPECT
124I 4.2d 1.53,2.14 0.60 β+ , EC  ー
125I 60.1d  ー 0.036 EC インビトロ検査(ホルモン、腫瘍関連抗原などで診断)、ラジオイムノアッセイ(臨床分析においてタンパク質の標識)、前立腺癌 125I挿入小線源療法(125I を密封したシードを前立腺内に永久挿入)
128I 25.0分  ー  ー β+ , β- , EC ホットアトム(ヨウ素原子を熱中性子で照射) 127I (n,γ) 128I → γ線放射、中性子放射化分析において高感度
129I 1.57×10^7y  ー 0.038 β-  ー
131I 8.0d 0.61 0.36 β- 甲状腺治療及び診断(甲状腺機能亢進症)
132I 2.3h 1.19,2.14 0.67,0.77 β-  ー
133Xe 5.3d 0.35 0.08 β-  ー
133mXe 2.2d  ー 0.23 IT  ー
131Cs 9.7d  ー 0.03,0.004 EC  ー
137Cs 30y 0.51 0.66 β-  密度計、レベル計、厚さ計
137mBa 2.6m  ー 0.66 IT  ー
140La 40.2h 1.35 1.60,0.49 β-  ー
141Ce 32.5d 0.44 0.15 β-  ー
147Pm 2.6y 0.224  ー β-  厚さ計
192Ir 74.2d 0.54,0.67 0.32,0.47 β-,EC  非破壊検査
198Au 2.7d 0.96 0.41 β-  ー
197Hg 64.1h  ー 0.08 EC  ー
201Tl 73.0h  ー 0.17,0.14 EC  ー
204Tl 3.8y 0.764 β-,EC  厚さ計
203Pb 52.0h  ー 0.28 β-  ー
210Po 140d α線6.0  ー α  煙感知器、静電除去
222Rn 3.8d α線5.5 0.51 α  ー
226Ra 1622y α線4.8 0.19 α  ー
241Am 400y α線6.0 0.06 α  煙感知器、静電除去・・・α線。蛍光X線、硫黄計、厚さ計・・・γ線
252Cf 2.6y α線6.12 0.04 α,SF  中性子水分計

 

1 誤 60Co から発生する 1.17 MeV、1.33 MeV のγ線がレベル計に使用される。

2 誤 63Ni は β- 線のみを発生する核種であり、ガスクロマトグラフの検出器に使われる。

3 正 147Pm は β- 線のみを発生する核種であり、10^(-2) ~ 10^(-1) kg/m2 程度の厚さ計に使われる。

4 誤 蛍光X線分析装置は、低エネルギーγ線やX線で試料を照射して励起させ、発生する蛍光X線スペクトルから分析を行う装置である。分析する元素の原子番号に応じて線源が使い分けられており、55Fe、241Am、238Pu、109Cd、57Co などが用いられる。

5 誤 252Cf が自発核分裂して発生する中性子が、水分計に使われる。

問30

線量計に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

A フリッケ線量計は、鉄イオンの酸化を利用する。

B セリウム線量計は、セリウムイオンの還元を利用する。

C フリッケ線量計は、空気を十分に通じてから使用する。

D アラニン線量計は、水和電子による還元作用を利用する。

E セリウム線量計は、ESR(電子スピン共鳴)装置を定量に用いる。

1 ABCのみ 2 ABDのみ 3 ACEのみ 4 BDEのみ 5 CDEのみ

解答 1

それぞれの線量計の特徴を下に示す。

フリッケ線量計

第1鉄イオン(Fe2+) → 酸化 → 第2鉄イオン(Fe3+) と変化させて測定する線量計で、測定範囲エネルギーは 50 ~ 400 Gy 。また硫酸鉄(Ⅲ)水溶液に空気または酸素と飽和して用いる。酸素飽和していると高線量の測定が可能。

セリウム線量計

第2セリウム(Ce4+) → 還元 → 第1セリウム(Ce3+) と変化させて測定する線量計で、測定範囲エネルギーは 10^4 ~ 5×10^4 Gy。セリウム線量計の定量には、320 nm の紫外線の吸収が用いられる。

アラニン線量計

アラニンを主成分としたパラフィン、フィルム等で作られた固形素子に放射線を照射した際にその吸収線量に比例して生じるラジカルの相対濃度を電子スピン共鳴(ESR)を用いて測定する。

 

熱中性子による核分裂についての記述

核医学診断で最も多く用いられている 99mTc(半減期:6.0時間)の製造には、99Mo(半減期:66時間)による 99mTc ジェネレータが利用できる。それに使用する 99Mo は、235U の熱中性子核分裂反応で製造され、無担体に近いものが得られる。99Mo はβ-壊変し、その 88% は 99mTc に、残りの 12% は直接 99Tc(半減期:2.1×10^5年)になる。生成した 99mTc は核異性体転移して 99Tc になる。分離生成した 99Mo の中では、99mTc の放射能が増加し、約 23 時間後に最大となるとき、99mTc の放射能は、その時点での 99Mo の放射能の約 88% になる。その後、99mTc の放射能は次第に半減期 66 時間で減衰 するようになる。約 60 時間以上で 99Mo と 99mTc は放射平衡状態になり、これを過渡平衡という。この時、99mTc の放射能と 99Mo の放射能の比は、99mTc と 99Mo の壊変定数をそれぞれ λ(Tc) 及び λ(Mo) とすると、[0.88λ(Tc)]/[λ(Tc)-λ(Mo)] で表され、99mTc の放射能は、99Mo の放射能を上回ることはない。

補足 親核種の半減期が娘核種の半減期に対して長い場合、十分な時間が経過すると娘核種は親核種の半減期で減衰するようになる。これを過渡平衡と呼ぶ。親核種が壊変して全て娘核種になる場合、娘核種の放射能が最大となるときに親核種と同じ放射能になる。この時を境に、娘核種と親核種の放射能が逆転し、娘核種の放射能が親核種の放射能よりも多くなる。99Mo の壊変では、88% が 99mTc を生成して放射平衡が成り立つが、12% は直接 99mTc になる。99mTc は 99Mo よりも半減期が長いため、99Mo の 12% は放射平衡が成り立たないことになる。

 

また下記のサイトに私がまとめた資料を示しております。

https://www.radiologist-study.org

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