問1
ある短寿命核種(半減期 T [秒])を 1 半減期測定したところ、C カウントであった。測定終了時におけるこの核種の放射能[Bq]はいくらか。ただし、このときの検出効率は ε とし、数え落としは無いものとする。
1 C/(εT)
2 2・C/(εT)
3 (1/2)・C/(εT)
4 (1/√2)・C/(εT)
5 (ln2)・C/(εT)
解答 5
1 半減期経過後は、壊変した原子数と残っている原子数が等しくなっている。壊変した原子数は、カウント数 C を検出効率 ε で割ることによって求められるので、残っている原子数を N とすると、N = C/ε・・・① となる。放射能 A は、 壊変定数 N から A = λN ・・・② と表される。①、②の式から A = λ・(C/ε) となり、壊変定数 λ は、半減期 T とすると λ = ln2/T で表されるので、A = (ln2)・C/(εT) となる。
問2
放射能で等量の 134Cs(半減期 2.0年)と 137Cs(半減期 30年)がある。10年後の 134Cs と 137Cs の原子数の比としてもっとも近い値は、次のうちどれか。ただし 3√2 = 1.26 とする。
1 0.0013:1
2 0.0026:1
3 0.039:1
4 0.067:1
5 0.13:1
解答 2
半減期を T、原子数を N とすると、放射能 A は、A = 0.693N/T と表される。よって、原子数 N は N = AT/0.693 となり、放射能と半減期の積 AT に比例することがわかる。10 年後には、134Cs では 5半減期経過しているため放射能は (1/2)^5 = 1/32 になり、137Cs では 1/3 半減期経過しているため放射能は、(1/2)^(1/3) = 1/1.26 になる。よって、(134Cs の AT)/(137Cs の AT) を求めると、(1/32×2)/(1/1.26×30) = 0.0026 となるため、原子数比は 0.0026:1 となる。
問3
半減期が 12.5 億年(3.9×10^16 秒)の放射性同位体 3.9 mg の放射能が 1040 Bq であった。この同位体のモル質量[g/mol]にもっとも近い値はどれか。
1 40
2 60
3 80
4 120
5 140
解答 1
半減期を T、原子数を N とすると、放射能 A は A = 0.693N/T と表される。また、原子数 N は質量数 M、重量 W グラムと以下の関係がある。 N = (W/M) × 6.02 × 10^23。これにより M = (0.693 × W)/AT × 6.02 × 10^23 の式で解ける。 これに代入すると M = 40 となる。
問4
次の放射性核種を、比放射能[Bq/g]の大きい順に並べたものはどれか。ただし、それぞれの核種の半減期を 14C は 5700 年、60Co は 5.3 年、32P は 0.04 年とする。
A 14C
B 32P
C 60Co
1 A > B > C
2 B > A > C
3 B > C > A
4 C > B > A
5 C > A > B
解答 3
比放射能 A/W = (0.693N/T) × (6.02×10^23)/MN = (0.693×6.02×10^23)/TM となり、半減期と原子数の積 TM と反比例の関係がある。よって TM を求めると次のようになる。14C:5730 × 14 = 79800。32P:0.04 × 32 = 1.28。 60Co:5.3 × 60 = 318 となり、B > C > A となる。
問5
比放射能 10 kBq/mg の 14CH3(COOH) に C2H5(OH) と少量の濃硫酸を加えて加熱した時に生成する酢酸エチル 14CH3(COO)C2H5 の比放射能[kBq/mg] にもっとも近いものはどれか。
1 3.4
2 6.8
3 8.2
4 14.7
5 18.1
解答 2
反応式は次のようになる。CH3(COOH) + C2H5(OH) → CH3(COO)C2H5 + H2O 14CH3(COOH) から14CH3(COO)C2H5 は同物質量生成するため、14C の全量が CH3(COO)C2H5 になることが分かる。14C の比放射能 10 kBq/mg では、 14C/12C の存在比は無視できるほど小さい。よって、それぞれの分子量は、分子量(CH3(COOH)) = 60、分子量(CH3(COO)C2H5) = 88 として計算できる。よって、60 mg のCH3(COOH) から 88 mg のCH3(COO)C2H5 が生成することになるので、比放射能 10 kBq/mg の14CH3(COOH) からは、 10 × (60÷88) = 6.8 kBq/mg noscriptCH3(COO)C2H5 が生成する。
問6
次の炭化水素の 14C/12C 比がすべて等しいとき、各化合物 1 グラム中の 14C 放射能が最も大きいものと、各化合物 1 モル中の 14C 放射能が最も大きいものとの正しい組み合わせはどれか。
A メタン(CH4)
B エタン(C2H6)
C エチレン(C2H4)
D アセチレン(C2H2)
E プロパン(C3H8)
1 AとC 2 AとD 3 BとC 4 BとE 5 DとE
解答 5
分子量 M の物質 1 モル(=6.02×10^23 個)の質量が M g であるので、分子量が小さいほど 1 g 中に含まれる物質量は多くなる。それぞれの 1 分子中の炭素数および、炭素数を分子量で割った値は次のようになる。
A メタン(CH4)・・・炭素数 1、炭素数/分子量 = 1/16
B エタン(C2H6)・・・炭素数 2、炭素数/分子量 = 2/30 = 1/15
C エチレン(C2H4)・・・炭素数 2、炭素数/分子量 = 2/28 = 1/14
D アセチレン(C2H2)・・・炭素数 2、炭素数/分子量 = 2/26 = 1/13
E プロパン(C3H8)・・・炭素数 3、炭素数/分子量 = 3/44 ≒ 1/14.7
1 g 中に含まれる 14C 放射能が最も多くなるのは、炭素数/分子量が最も大きいアセチレンになる。また、1 モル中に含まれる 14C 放射能が最も多くなるのは、1 分子中に炭素を最も多く含むプロパン(C3H8)である。
問7
放射性親核種 1 は半減期 T1 で壊変して娘核種 2 になり、生成した娘核種 2 はさらに半減期 T2 で壊変して安定核種 3 になる。この逐次壊変で、T1 > T2 であり、娘核種を分離除去した親核種 1 から生成する娘核種 2 の放射能が最大になるときを t(max) とすると、次の記述のうち 正しいものの組み合わせはどれか。
A t(max) では、娘核種 2 の生成速度と壊変速度は等しい。
B t(max) では、親核種 1 の放射能と娘核種 2 の放射能は等しい。
C t(max) の後は、娘核種 2 の放射能は親核種 1 の放射能を常に上回る。
D t(max) の後は、娘核種 2 の放射能は次第に半減期 T2 で減衰するようになる。
1 ABCのみ 2 ABDのみ 3 ACDのみ 4 BCDのみ 5 ABCDすべて
解答 1
親核種の原子数を N(1)、壊変定数を λ(1)、放射能を A(1)、娘核種の原子数を N(2)、壊変定数を λ(2)、放射能を A(2) とする。
A 正 N2 の時間変化は、親核種の壊変速度と娘核種の壊変速度の差であるので、次のように表される。dN(2)/dt = λ(1)N(1) – λ(2)N(2)。また、親核種の壊変=娘核種の生成である。t(max) となるのは、dN(2)/dt = 0 のときであるので、娘核種の生成速度=娘核種の壊変速度となる。
B 正 親核種の壊変により娘核種が生成する。t(max) の前は親核種の放射能 A1 の方が大きいが、t(max) を境に逆転する。
C 正 t(max) の後は次のような関係が成り立つ。N(2)/N(1) = λ(1)/[λ(2)-λ(1)]。A(2)/A(1) = [N(2)λ(2)]/[N(1)λ(1)] = 1 + [N(2)λ(2)]/[N(1)λ(1)] = 1 + N(2)/N(1) となり、A(2)/A(1) は 1 より大きくなる。よって、t(max) の後は常に A(2) > A(1) の関係が成り立つ。
D 誤 t(max) の後十分な時間がたつと、娘核種 2 の放射能は次第に親核種の半減期 T1 で減衰するようになる。
問8
精製した 140Ba から生成した 140La の放射能が、精製時より 25.6 日後に 5.0 kBq であった。精製時における 140Ba の放射能[kBq]として最も近いものはどれか。ただし、140Ba の半減期を 12.8 日、140La の半減期を 1.7 日とする。
1 2
2 7
3 12
4 17
5 22
解答 4
親核種 140Ba の半減期 12.8 日 > 娘核種 140Ba の半減期 1.7 日 の関係が成り立ち、親核種 140Ba を精製してから娘核種の約 15 半減期が経過しているため、過渡平衡が成立している。このとき、親核種の放射能を A(1)、半減期を T(1) 秒、娘核種の 放射能を A(2)、半減期を T(2) とすると、次のような関係が成り立つ。A(2) = [A(1)T(1)]/[T(1)-T(2)]。よって精製後 25.6 日後の親核種の放射能は、5.0×10^3 = [A(1)×12.8×24×60×60]/[(12.8-1.7)×24×60×60] A(1) = 4.3 × 10^3 [Bq] となる。精製時は 25.6 日 = 親核種 140Ba の 2 半減期前であるので、(1/2)^2 で割ると、精製時の放射能が求まり、1.7 × 10^4[Bq] = 17[kBq] となる。
問9
ある小型アイソトープ電池には、α壊変する 238Pu(半減期87.7年、2.8×10^9秒)が 1.0 mg 用いられている。放出されるα粒子のエネルギーは 1 壊変当たり 9.0 × 10^(-13) J で、このすべてが利用されるとすると、この電池の出力[mW]として最も近い値はどれか。
1 0.07
2 0.14
3 0.28
4 0.56
5 1.12
解答 4
1 J のエネルギーは、1 W の仕事率を 1秒間行った時の仕事と定義されることから、J = W・s、すなわちW = J/s の関係にある。半減期を T、原子数を N とすると、放射能 A は、A = 0.693N/T ・・・①と表される。また、原子数 N は質量数 M、重量 W グラム と次のような関係がある。N = (W/M) × 6.02 × 10^23・・・②。①、②の式より、放射能 A は次のように表される。A = (0.693×W)/(M×T) ×6.02 × 10^23。それぞれに数値を代入し計算すると、239Pu の放射能 A = 6.23 × 10^8 Bq となる。1 秒間当たり 9.0 × 10^(-13) J のエネルギーを持つ α線が 6.23 × 10^8 個放出されるため、これを出力に換算すると、9.0 × 10^(-13)[J] × 6.23 × 10^8[個/s] = 5.6 × 10^(-3)[W] = 0.56[mW] となる。
問10
ある物質を原子炉で 40 分間中性子照射すると、半減期 20 分の放射性核種が 3.0 × 10^5 Bq 生成する。その物質を同じ照射条件の下で 10 分間照射した時に生成する放射能[Bq]は、次のうちどれか。
1 7.5 × 10^4
2 1.2 × 10^5
3 1.5 × 10^5
4 2.0 × 10^5
5 2.8 × 10^5
解答 2
中性子照射によって生成する放射性核種の放射能 A は、ターゲット核の数 n、照射粒子フルエンス率 f、反応断面積σ、生成核 T、照射時間 t と次の関係がある。A = nfσ[1 – (1/2)^(t/T)]。40 分間の中性子照射で生成した半減期 20 分の放射性核種 が 3.0 × 10^5 Bq であるので、3.0×10^5 = nfσ[1-(1/2)^(40/20)] nfσ = 4 × 10^5 よって、10 分間の同じ照射条件で生成する半減期 20 分の放射性核種の放射能 A は、A = 4 × 10^5 × [1-(1/2)^(10/20)] = 4 × 10^5 × [1-(1/√2)] = 1.2 × 10^5 Bq となる。
問11
元素の周期表で 4 族の Zr と Hf の熱中性子断面積は。それぞれ 0.2 barn と 100 barn である。それぞれ 100 mg/cm2 の Zr板又は Hf 板を熱中性子が透過した時、Zr 板での熱中性子束の吸収率 A(Zr) と Hf 板での熱中性子束の吸収率 A(Hf) の比、すなわち A(Zr)/A(Hf) に最も近い値は 次のうちどれか。ただし、Zr と Hf の原子量は、それぞれ 91 と 178 とする。
1 4 × 10^(-3)
2 2 × 10^(-2)
3 4 × 10^(-1)
4 2.5 × 10^2
5 3 × 10^3
解答 1
面密度はそれぞれ 100 mg/cm2 と等しいが、Zr と Hf で原子量が異なるため、単位面積あたりに存在する原子数は異なる。原子量 M の原子が 1 mol 集まると M グラムになるため、単位面積あたりに存在する原子数は原子量の比に反比例する。よって、 吸収率の比 A(Zr)/A(Hf) は、それぞれの吸収断面積をそれぞれの原子量の比で割ったものになる。A(Zr)/A(Hf) = (0.2/91)/(100/178) = 4 × 10^(-3)
問12
炭素の同位体に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A 11C は陽電子放出断層撮影(PET)に用いられる。
B 12C は原子量の基準となっている。
C 13C は核磁気共鳴分光法で用いられる。
D 14C は大気中では 14CO2 として存在する。
1 ABCのみ 2 ABDのみ 3 ACDのみ 4 BCDのみ 5 ABCDすべて
解答 5
A 正 11C は半減期 20 分の短半減期陽電子放出核種であり、PET に用いられる。他に用いられる核種として、13N(半減期 10 分)、15O(半減期 2.0 分)、18F(半減期 110 分)がある。
B 正 現在の IUPAC(国際純正・応用化学連合)の定義では、12C 原子 1 個の質量の 1/12 を原子量と定めている。
C 正 核磁気共鳴分光法(NMR)では、1H や 13C のような磁気核原子を利用して有機分子の構造を決定する。12C は非磁気核である。
D 正 宇宙線により常時生成している 14CO2 が植物に取り込まれることを利用して、14C 法の年代測定が行われている。
問13
125I と 131I に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A 同一放射能の 125I と 131I を比較すると、原子数は 131 の方が多い。
B 131I は 235U んも熱中性子核分裂により生成する。
C ラジオイムノアッセイに最も多く用いられるのは 125I である。
D 125I は EC 壊変してγ線を放出する。
1 ABCのみ 2 ABのみ 3 ADのみ 4 CDのみ 5 BCDのみ
解答 5
A 誤 半減期を T、原子数を N とすると、放射能 A は、A = 0.693N/T と表され、原子数 N は、N = AT/0.693 となる。放射能が同一の場合、原子数 N は半減期 T に比例する。125I の半減期は 59 日、131I の半減期は 8.0 日であるので、125I と 131I の原子数は、 0.693N(125)/59 = 0.693N(131)/8.0 N(125) = 59/8.0 × N(131) となり、125I の原子数は、131I の 7.4 倍程度になる。
B 正 131I は、235U の熱中性子による核分裂で 2.89 % の収率で得られる。質量 95 付近と 138 付近の原子数に収率の極大(収率約 6 %)がある。
C 正 ラジオイムノアッセイは、抗体ー抗原反応を利用した抗原の定量法である。抗原の標識には主に、半減期が 60 日でγ線を放出する放射性ヨウ素の 125I が用いられる。
D 正 125I は EC 壊変して 125Te になる。その際に、35.5 keV のγ線を 6.7 % の割合で放出する。
問14
放射性元素に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A テクネチウム(Tc)はマンガン(Mn)の同族元素である。
B ラドン(Rn)はウラン(U)の同族元素である。
C プロメチウム(Pm)はアクチノイド元素である。
D トリウム(Th)はアクチノイド元素である。
1 AとB 2 AとC 3 AとD 4 BとC 5 BとD
解答 3
周期表を覚えておく必要がある。
A 正 ともに第 7 族元素である。
B 誤 Rn は希ガス(第 18 族元素)、U はアクチノイド元素(第 3 族元素)である。
C 誤 Pm はランタノイド元素である。
D 正
問15
γ線を放出しない核種のみの組み合わせは、次のうちどれか。
1 32P、55Fe、63Ni
2 3H、14C、134Cs
3 33P、35S、59Fe
4 24Na、36Cl、45Ca
5 54Mn、60Co、90Sr
解答 4
下記に表を示す。
放射性同位体特性表
核種 | 半減期 | β線のエネルギー(MeV) | γ線(X線)エネルギー(MeV) | 壊変形式 | 用途 |
---|---|---|---|---|---|
3H | 12.3y | 0.02 | ー | β- | ー |
11C | 20.4m | 0.96 | (0.51) | β+ , EC | ー |
14C | 5730y | 0.16 | ー | β- | 厚さ計(使われることは少ない) |
13N | 10.0m | 1.20 | ー | β+ | ー |
15O | 2.0m | 1.73 | (0.51) | β+ , EC | ー |
18F | 110m | 0.63 | (0.51) | β+ , EC | ー |
22Na | 2.6y | 0.55 | 1.28,(0.51) | β+ , EC | ー |
24Na | 15.0h | 1.39 | 1.37,2.75 | β- | ー |
30P | 2.5m | 3.2 | ー | β+ , EC | ー |
32P | 14.3d | 1.71 | ー | β- | ー |
33P | 25d | ー | 0.25 | β- | ー |
35S | 87.5d | 0.17 | ー | β- | ー |
36Cl | 3.0×10^5y | 0.71 | ー | β+ , β- , EC | ー |
42K | 12.4h | 2.00,3.52 | 1.52 | β- | ー |
43K | 22.3h | 0.83 | 0.32,0.62 | β- | ー |
45Ca | 164d | 0.26 | ー | β- | ー |
47Ca | 4.5d | 0.69 | 1.30 | β- | ー |
51Cr | 27.7d | ー | 0.32 | EC | ー |
54Mn | 312d | ー | 0.83 | EC | ー |
52Fe | 8.3h | 0.80 | (0.51) | β+ , EC | ー |
55Fe | EC | ||||
59Fe | 44.6d | 0.47,0.27 | 1.10,1.29 | β- | ー |
57Co | 271d | ー | 0.12,0.14 | EC | メスバウア線源 |
58Co | 70.8d | 0.48 | 0.81(0.51) | β+ , EC | ー |
60Co | 5.3y | 0.32 | 1.17,1.33 | β- | 密度計、レベル計、厚さ計・・・γ線を使用 |
62Cu | 9.7m | 2.93 | 1.17,0.88 | β+ , EC | ー |
63Ni | 100y | 0.067 | ー | β- | ー |
67Ni | 100y | 0.067 | ー | β- | ガスクロマトECD検出器用線源 |
67Ga | 3.3d | ー | 0.09,0.19 | EC | ー |
68Ga | 1.1h | 1.90,0.82 | 1.08,(0.51) | β+ , EC | ー |
68Ge | 271d | ー | 0.009 | EC | ー |
75Se | 120d | ー | 0.27,0.14 | EC | ー |
75Br | 98m | ー | (0.51),1.7 | β+ , EC | ー |
76Br | 16.2h | ー | (0.51),3.6 | β+ , EC | ー |
82Br | 35.3h | 0.44 | 0.78,0.55 | β- | ー |
81mKr | 13s | ー | 0.19 | IT | ー |
85Kr | 10.7y | 0.69 | 0.51 | β- | 厚さ計(よく使われる核種) |
81Rb | 4.6h | 1.05 | 0.45(0.51) | β+ , EC | ー |
82Rb | 1.3m | 3.15 | 0.78 | β+ , EC | ー |
86Rb | 18.8d | 1.77,0.70 | 1.08 | β- | ー |
85Sr | 64.8d | ー | 0.51 | EC | ー |
87mSr | 2.8h | ー | 0.39 | IT,EC | ー |
90Sr | 28.8y | 0.55 | ー | β- | 厚さ計、タバコ量目計 |
87Y | 80.3h | 0.45 | 0.49 | β+ , EC | ー |
90Y | 64.1 | 2.28 | ー | β- | ー |
98Mo | 66.0h | 1.23,0.44 | 0.74,0.18 | β- | ー |
99mTc | 6.0h | ー | 0.14 | IT | 蛍光X線線源 |
109Cd | 463d | ー | 0.222 | EC | ー |
111In | 2.8d | ー | 0.17,0.25 | EC | ー |
113mIn | 1.7h | ー | 0.39 | IT | ー |
113Sn | 115.1d | ー | 0.26 | EC | ー |
123I | 13.2h | ー | 0.159 | EC | インビボ検査(脳血流・甲状腺機能・心機能)、チンチグラム、SPECT |
124I | 4.2d | 1.53,2.14 | 0.60 | β+ , EC | ー |
125I | 60.1d | ー | 0.036 | EC | インビトロ検査(ホルモン、腫瘍関連抗原などで診断)、ラジオイムノアッセイ(臨床分析においてタンパク質の標識)、前立腺癌 125I挿入小線源療法(125I を密封したシードを前立腺内に永久挿入) |
128I | 25.0分 | ー | ー | β+ , β- , EC | ホットアトム(ヨウ素原子を熱中性子で照射) 127I (n,γ) 128I → γ線放射、中性子放射化分析において高感度 |
129I | 1.57×10^7y | ー | 0.038 | β- | ー |
131I | 8.0d | 0.61 | 0.36 | β- | 甲状腺治療及び診断(甲状腺機能亢進症) |
132I | 2.3h | 1.19,2.14 | 0.67,0.77 | β- | ー |
133Xe | 5.3d | 0.35 | 0.08 | β- | ー |
133mXe | 2.2d | ー | 0.23 | IT | ー |
131Cs | 9.7d | ー | 0.03,0.004 | EC | ー |
134Cs | 2.1y | 2.06 | ー | β- | ー |
137Cs | 30y | 0.51 | 0.66 | β- | 密度計、レベル計、厚さ計 |
137mBa | 2.6m | ー | 0.66 | IT | ー |
140La | 40.2h | 1.35 | 1.60,0.49 | β- | ー |
141Ce | 32.5d | 0.44 | 0.15 | β- | ー |
147Pm | 2.6y | 0.224 | ー | β- | 厚さ計 |
192Ir | 74.2d | 0.54,0.67 | 0.32,0.47 | β-,EC | 非破壊検査 |
198Au | 2.7d | 0.96 | 0.41 | β- | ー |
197Hg | 64.1h | ー | 0.08 | EC | ー |
201Tl | 73.0h | ー | 0.17,0.14 | EC | ー |
204Tl | 3.8y | 0.764 | ー | β-,EC | 厚さ計 |
203Pb | 52.0h | ー | 0.28 | β- | ー |
210Po | 140d | α線6.0 | ー | α | 煙感知器、静電除去 |
222Rn | 3.8d | α線5.5 | 0.51 | α | ー |
226Ra | 1622y | α線4.8 | 0.19 | α | ー |
241Am | 400y | α線6.0 | 0.06 | α | 煙感知器、静電除去・・・α線。蛍光X線、硫黄計、厚さ計・・・γ線 |
252Cf | 2.6y | α線6.12 | 0.04 | α,SF | 中性子水分計 |
問16
次のうち、アルカリ金属元素の同位体を生成する反応の組み合わせどれか。
A 10B(n,α)
B 24Mg(d,α)
C 40(α,p)
D 81Br(α,2n)
1 ABCのみ 2 ABDのみ 3 ACDのみ 4 BCDのみ 5 ABCDすべて
解答 5
A 正 10B(n,α)7Li
B 正 24Mg(d,α)20Na
C 正 40(α,p)43K
D 正 81Br(α,2n)83Rb
問17
次の核種のうち、娘核種が放射性でないものはどれか。
1 90Sr
2 68Ge
3 99Mo
4 210Po
5 226Ra
解答 4
1 誤 90Sr → β- → 90Y:放射性
2 誤 68Ge → EC → 68Ga:放射性
3 誤 99Mo → β- → 99m:放射性
4 正 210Po → α → 206Pb:安定
5 誤 226Ra → α → 222Rn:放射性
問18
環境中の放射性核種に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 トリチウム T は海水中では T2O として存在する。
2 化石燃料の使用は大気中の二酸化炭素の 14C 濃度を上昇させる。
3 40K は太陽宇宙線照射で生成したものである。
4 99mTc は大部分が 235U の核分裂に由来する。
5 ネプチニウム系列のラドン同位体は 221Rn である。
解答 5
これも周期表を覚えておかなければ解けない。
1 誤 トリチウムは同位体交換を起こしやすいため、海水中ではほぼ HT0 の形で存在する。
2 誤 大気上層では宇宙線により一定量の 14C が常時生成されており、大気中の 14C の比放射能は一定である。化石燃料には 14C の取り込みが行われないため、14C の比放射能は大気中よりも小さくなっている。
3 誤 40K は、地球創生時から残存する一次放射性核種であり地殻中に多く存在する。
4 正 環境中の 99Tc(半減期 21 万年) は原子炉で用いられる 235U の核分裂生成物である 99mTc(半減期 6 時間)に由来するものが大部分である。
5 誤 ネプチニウム系列にラドンは含まれない。
問19
図は質量数 51 の壊変図を示している。次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A 51Ti と 51Cr は、320 keV のγ線を放出する。
B 51Cr の壊変により V の特性 X 線が放出される。
C 51Ti の壊変は 511 keV の光子の放出を伴う。
D 51Cr の壊変は 609 keV のγ線の放出を伴う。
1 AとB 2 AとC 3 BとC 4 BとD 5 CとD
解答 1
A 正 51Ti のβ-壊変の 92 % 及び 51Cr の EC 壊変の 10% が 51V の 320 keV のエネルギー準位を経る。
B 正 EC 壊変では、壊変で生成した核の特性 X 線(またはオージエ電子)が発生する。
C 誤 51Ti の壊変では、320 keV、929 keV、929 – 320 = 609 keV の光子が放出される。また、β+ 壊変を伴わないため、511 keV の光子(消滅放射線)の放出もない。
D 誤 51Cr の壊変では、320 keV のγ線が放出される。
問20
放射性核種を含む試料とその測定に適した検出器に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A 55Fe で標識された化合物を含む溶液試料の放射能を BGO シンチレーション検出器を用いて測定する。
B 溶液試料中の未知のγ線放出核種を Ge 半導体検出器を用いて同定する。
C 14C と 3H を含む水溶液の核種濃度を液体シンチレーションカウンタを用いて定量する。
D 金属に電着された未知のα線放出核種を GM 検出器を用いて同定する。
E 210Po の核種濃度を液体シンチレーションカウンタを用いて定量する。
1 ABCのみ 2 ABDのみ 3 BCEのみ 4 ADEのみ 5 CDEのみ
解答 3
A 誤 55Fe から放出される特性 X 線は低エネルギーのため、BGO 検出器では測定できない。
B 正 Ge 半導体検出器はエネルギー分解能が良いため、γ線を放出する未知核種の同定に最適である。
C 正 14C と 3H のβ線の最大エネルギーが大きく異なることを利用して、同時定量することができる。
D 誤 α線は、GM 検出器表面のマイカ膜でも遮蔽されてしまうため、検出できない。
E 正 210Po が放出するα線を液体シンチレーションカウンタで測定できる。
問21
100 kBq の 140Ba を含む硫酸バリウム(BaSO4) 100 mg を 1L の水とよく攪拌して混合した時、水に溶解する 140Ba の放射能[kBq] に最も近い値はどれか。ただし、BaSO4 の式量は 2333 とし、BaSO4 の溶解度積 K(sp) = [Ba(2+)][SO4(2-)] = 1.0×10^(-10)(mol/L)^2 とする。
1 0.2
2 2
3 10
4 20
5 30
解答 2
BaSO4 100 mg は、0.1/233 = 1/2330 mol である。この中に 100 kBq の 140Ba が含まれるので、比放射能は 100 kBq/(1/2330 mol) = 2.33 × 10^5 kBq/mol となる。溶解度積は 1.0 × 10^(-10) (mol/L)^2 であるので、溶液中に溶解する[Ba(2+)] および[SO4(2-)] は、ともに 1.0 × 10^(-5) mol/L となる。溶液は 1L であるので、溶解する 140Ba は 2.33 × 10^5 kBq/mol × 1.0 × 10^(-5) mol/L × 1L ≒ 2 kBq となる。
問22
担体を含む 65Zn(2+) の酸性溶液がある。この溶液に NaOH 水溶液又はアンモニア水を加えていくと、いずれもまず白い沈殿が生じる。次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A NaOH 水溶液を少量加えて沈殿するのは水酸化物である。
B NaOH 水溶液をさらに過剰に加えると、この沈殿は再溶解する。
C アンモニア水を少量加えて沈殿するのは水酸化物である。
D アンモニア水をさらに過剰に加えると、この沈殿は再溶解する。
1 ABCのみ 2 ACのみ 3 BDのみ 4 Dのみ 5 ABCDすべて
解答 5
A 正 Zn(OH)2 が沈殿する。
B 正 過剰に NaOH を加えると、[Zn(OH)4](2-)(テトラヒドロキソ亜鉛(Ⅱ)酸イオン)となり、沈殿が再溶解する。
C 正 Zn(OH)2 が沈殿する。
D 正 過剰にアンモニア水を加えると、[Zn(NH3)4](2+)(テトラアンミン亜鉛(Ⅱ)イオン)となり、沈殿が再溶解する。
問23
担体を含む水溶液からの放射性沈殿の生成に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A 45Ca(2+) はシュウ酸イオンを生成する。
B 59Fe(2+) の方が 59Fe(3+) に比べて、より酸性側でも水酸化物を沈殿する。
C 63Cu(2+) の酸性溶液に硫化水素を通じると沈殿を生成する。
D 140Ba(2+) の水溶液に希硫酸を加えると沈殿を生成する。
E 110mAg+ は過塩素酸イオンと沈殿を生成する。
1 ABEのみ 2 ACDのみ 3 ADEのみ 4 ADEのみ 5 BCEのみ
解答 2
A 正 Ca(2+) は、シュウ酸イオンと難溶性の Ca(COO)2 沈殿を形成する。
B 誤 Fe(2+) の水酸化である淡緑色の Fe(OH)2 は、空気で容易に酸化されて赤褐色の水和酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3・H2O になるように、酸化されやすい性質がある。
C 正 Cu(2+) の酸性溶液に硫化水素を加えると、黒色の CuS 沈殿を形成する。
D 正 Ba(2+) に希硫酸を加えると、白色の BaSO4 沈殿を形成する。
E 誤 AgClO4(過塩素酸銀(Ⅰ))は溶解度が大きく(25 ℃ で 557g/100cm3)、沈殿を形成しない。
問24
次の金属が、室温で、トリチウムを含む水または水溶液と反応して、トリチウムを含む水素ガスを発生するものの組み合わせはどれか。
A 金属ナトリウム + トリチウム水
B 金属アルミニウム + トリチウム水
C 金属アルミニウム + トリチウムを含む 2 mol/L 塩酸
D 金属アルミニウム + トリチウムを含む 2 mol/L 水酸化ナトリウム水溶液
1 ABのみ 2 ACのみ 3 BDのみ 4 ACDのみ 5 BCDのみ
解答 4
A 正 金属ナトリウム + トリチウム水 の反応は次のようになる。2Na + 2(H2O) → 2NaOH + H2↑
B 誤 アルミニウムは、表面に酸化アルミニウムの不動態を形成しているため、室温では水と反応しない。ただし、活性アルミニウムの微粒子と水は常温でも次のような反応を起こし、水素ガスが発生し、マイクロ燃料電池に利用されている。2Al + 3(H2O) → Al2O3 + 3(H2)↑
C 正 金属アルミニウム + トリチウムを含む 2 mol/L 塩酸・・・アルミニウムは、酸ともアルカリとも反応する両性元素である。次のような反応がおき、同位体交換により、トリチウムを含む水素ガスが発生する。2Al + 6HCl → 2AlCl3 + 3(H2)↑
D 正 金属アルミニウム + トリチウムを含む 2 mol/L 水酸化ナトリウム水溶液・・・次のような反応がおき、同位体交換により、トリチウムを含む水素ガスが発生する。2Al + 2NaOH + 6(H2O) → 2Na[Al(OH)4] + 3(H2)↑
問25
水相からある有機相への I2 の抽出の分配比が 100 であった。50 MBq の 125I を I2 として含む水相 100 ml から、この I2 を有機相 50 mL に抽出した場合、水相に残る 125I の放射能[MBq] に最も近い値は、次のうちどれか。
1 0.5
2 1.0
3 1.5
4 2.0
5 2.5
解答 2
有機相への抽出率 E は、分配比を D、有機相の体積を V(0)、水相の体積を V(W) とすると、次のような式が成り立つ。E = D/[D+(V(W)/V(0))]。有機相へは、E = 100/[100+(100/50)] = 100/102 が抽出されるため、水相には、50 MBq × (1-(100/102)) = 0.98 MBq が残る。
問26
59Fe(3+)、85Sr(2+)、110mAg(+)、137Cs(+) とそれぞれの担体を含む希硝酸溶液がある。この溶液に、次のイ〜ハの操作を行った。
イ 少量の塩酸を入れたところ、沈殿 A が生じた。
ロ 沈殿 A をろ別した後、溶液をアンモニア水でアルカリ性にしたところ、沈殿 B が生じた。
ハ 沈殿 B をろ別した後、溶液に炭酸アンモニウム溶液を加えたところ、沈殿 C が生じた。
A B C
1 85Sr 59Fe 110mAg
2 59Fe 110mAg 137Cs
3 110mAg 59Fe 85Sr
4 137Cs 85Sr 59Fe
5 110mAg 85Sr 137Cs
解答 3
下の図表を覚えておくと良い。
問27
次の記述のうち、ホットアトムの生成と関係がないものはどれか。
1 中性子照射した臭素酸カリウムを水に溶かすと、放射性の Br- イオンも得られる。
2 中性子照射したヨウ化エチルに水を加えて振り混ぜると、水中に高比放射能の 128I が得られる。
3 地下水中の 234U/238U(放射能比)が 1 より大きいことがある。
4 トリチウムを含む水を電気分解すると、水中のトリチウム濃度は高くなる。
5 ホウ素化合物をがん組織に濃縮させた後、熱中性子照射で腫瘍を治療する。
解答 4
1 正 反跳エネルギーにより BrO3(-) 中の結合が切られるため、Br(-) イオンが生成する。
2 正 127I(n,γ)128I 反応のγ線の反跳エネルギーによって、C2H5-I の結合が切られたため水相に高比放射能の 128I が移行する。
3 正 234U は 238U の子孫核種である。放射平衡が成立していれば、234U/238U は 1 に等しいが、反跳効果により周囲の結晶格子が損傷した水に溶解する。
4 誤 同位体効果のため、O-3H 結合は O-1H よりも結合エネルギーが高く、電気分解されにくいため 3H が水中に残る。
5 正 10B(n,α)7Li 反応が起こる。ホットアトム効果により、生成する 7Li も反跳エネルギーを持つ。α線および 7Li のいずれも数 nm の飛程しか持たないため、選択的に腫瘍を照射できる。この方法は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)と呼ばれる。
問28
放射線化学に関連する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 安定同位体をトレーサーとして用いる。
B 測定の対象に主成分として含まれている元素を利用する。
C 放射化分析で感度の高い元素をトレーサーとして加える。
D 放射能汚染を引き起こす可能性があるので、自然環境では使用できない。
1 AとB 2 AとC 3 BとC 4 BとD 5 CとD
解答 2
A 正 アクチバブルトレーサー法は、環境の放射能汚染を避けるなどの理由で RI を直接使用できない場合に安定同位体をトレーサーとして用いる。
B 誤 測定の対象に主成分でない元素を利用する。
C 正 放射化分析により定量する。
D 誤 安定同位体を用いるため自然環境でも使用可能である。
問29
次の放射線源と放射性同位元素利用機器も関係のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A 55Fe ー 透過型厚さ計
B 63Ni ー ECD ガスクロマトグラフ
C 85Kr ー 煙感知器
D 137Cs ー 水分計
E 147Pm ー 散乱型厚さ計
1 AとD 2 AとE 3 BとC 4 BとE 5 CとD
解答 4
A 誤 55Fe から放出される特性X線は、硫黄計に用いられる。透過型厚さ計には、241Am、137Cs など用いられる。
B 正 63Ni から放出される β- 線は、ECD ガスクロマトグラフの検出器に用いられる。
C 誤 85Kr から放出される β- 線は、透過型厚さ計に用いられる。煙感知器には、241Am から放出されるα線が用いられる。
D 誤 137Cs から放出されるγ線は、医療用照射装置、γ線ラジオグラフィ用小型照射装置、食品や初が防止用の照射装置などが用いられる。水分計には 241Am-Be、252Cf などの中性子線源が用いられる。
E 正 147Pm から放出される β-線は、散乱型厚さ計に用いられる。
問30
次のγ線の線量計(ア)と利用されている現象(イ)の組み合わせが正しいものはどれか。
(ア) (イ)
1 フリッケ線量計 Fe(3+)の還元
2 セリウム線量計 Ce(3+)の酸化
3 アラニン線量計 ラジカル生成
4 蛍光ガラス線量計 発熱
5 熱ルミネセンス線量計 イオン対生成
解答 3
1 誤 フリッケ線量計(鉄線量計)は、放射線の照射により Fe(2+) が Fe(3+) に酸化されることを利用した線量計である。大線量の測定に用いられ、個人線量計としては適さない。
2 誤 セリウム線量計は、放射線の照射により Ce(4+) が Ce(3+) に還元されることを利用した線量計である。大線量の測定に用いられ、個人線量計としては適さない。
3 正 アラニン線量計は、放射線の照射によりアラニン分子中のアミノ基が切断され、ラジカルが生成することを利用した線量計である。放射線照射により、吸収線量に比例して生じるラジカルの相対濃度を電子スピン共鳴(ESR)によって測定する。線量測定範囲が 1 ~ 10^5 Gy と広く、高い精度と安定性を持つ。
4 誤 蛍光ガラス線量計は、放射線のエネルギーを蛍光中心に蓄えておき、紫外線によって放出させることによりオレンジ色の光を発することを利用した線量計である。再使用、再読み取りが可能である。高感度のため、個人被ばく線量測定に広く用いられている。
5 誤 熱ルミネセンス線量計(TLD)は、放射線のエネルギーエオ捕獲中心に蓄えておき、加熱によって放出させることにより蛍光を発することを利用した線量計である。再使用は可能であるが、再読み取りが不可能である。高感度のため、個人被ばく線量測定に用いられる。
イオン交換樹脂
イオン交換樹脂はイオン交換基をもつ高分子であり、水溶液中のイオンと樹脂自身に吸着しているイオンを交換する。イオン交換樹脂が水溶液中のイオンを吸着する強さがイオンによって異なり、この性質を利用してイオンを分離することができる。例えばスチレンー ジビニルベンゼン共重合体を高分子骨格とし、 -S03H 基をイオン交換部位として持つ強酸性陽イオン交換樹脂では +1 価イオンの樹脂への吸着強度は Li+ < Na+ < K+ < Rb+ であり 水和イオン半径が小さいものほど強い。(水和イオン半径は原子番号が大きいほど小さくなる)。また価数が異なるイオンに対しては一般に +1価 < +2価 < +3価 という傾向がある。 イオン交換樹脂に吸着しているイオンと水溶液中のイオンは吸着平衡になる。陽イオン交換樹脂に吸着している A+ イオンの濃度を [A]r 、水溶液中の A+ イオンの濃度を [A]a 、B+ イオンについても同様に行うと、Kr = ([B]r/[B]a)/([A]r/[A]a) という 平衡定数となる。Kr > 1 の時には B+ イオンの方が A+ イオンより強く吸着する。イオン交換樹脂の吸着平衡は、溶液と樹脂吸着のイオンの濃度比を決定し、濃度には依存しないので、無担体の放射性同位体の分離に適している。 一方、強塩基性陰イオン交換樹脂を用いて塩化物イオンとの錯形成能の違いを利用して分離することができる。強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに Fe3+,Co2+,Ni2+ を含む 9 mol/l 塩酸溶液を 1ml ,その後 9 mol/l , 4 mol/l , 0.5 mol/l の濃度の塩酸を 順次 12 ml ずつ流して各イオンを分離すると上図のようになった。塩化物イオンとの錯体形成能の強さは Fe3+ > Co2+ > Ni2+ の順であり、a , b , c のピークは左から Ni2+ , Co2+ , Fe3+ である。
また下記のサイトに私がまとめた資料を示しております。
https://www.radiologist-study.org