溶解度積についての記述2
水溶液から目的物質を固体の沈殿として分離する場合固体の水への溶解度が分離の効率(収率)を決定する。一般に陽イオンAと陰イオンBからできている水への溶解度が小さい難容性塩 AmBn の沈殿が生成するとき、水溶液中でのイオンと固体は 溶解平衡になっている。(ある化合物がこれ以上水に溶解できなくなった状態を溶解平衡と呼ぶ。)それぞれのイオンの水溶液中の濃度を [A],[B] とすると、 Ksp = [A]^m [B]^n という関係式が成り立つ。・・・・①(イオン化合物 Am Bn が電離して Am Bn = mA + nB の化学平衡式が成り立つとき、溶解度積 Ksp は Ksp = [A]^m [B]^n となる)。Ksp は溶解度積と呼ばれる定数である。Aを含む水溶液とBを含む水溶液が混合したときに ① 式の右辺が Ksp を上回るときには Am Bn の沈殿が生成して AやBの濃度が下がり、① 式が成立したところで平衡になる。難容性塩である BaSO4 の場合には Ksp = 1.0×10^(-10) (mol/l)2 である。140Ba(半減期12.8日 = 1.1×10^6秒)が 70 MBq あるとするとその物質量はおおよそ 1.9 × 10^(-10) mol である。これが硝酸塩として溶解している。水溶液Xの 500ml と、濃度 0.02 mol/l の Na2SO4 水溶液Yを 500ml 混合しても[140Ba2+][SO4]2- < Ksp であって、 140Ba2+ は沈殿しない。もし、 0.02 mol の非放射能 Ba(NO3)2 を 500 ml のXに担体として溶解しておくと、500ml のYとの混合により 140Ba2+ を沈殿させることができるが、この担体量では 140Ba2+ のうち 1.0 × 10^(-1) % が沈殿せずに溶液中に残る。(水溶液Yと混合した後に沈殿が生じているので、溶液中の(非放射性140Ba2+)の濃度は、溶解度積が 1.0×10^(-10) (mol/l)2 である。 ことから 1.0×10^(-5) mol/l となる。一方 1l 中に沈殿は(0.01-1.0×10^(-5))mol 生成している。よって溶液中の(非放射性140Ba2+)の濃度の沈殿に対する比をとると、(1.0×10^(-5))/(0.01-1.0×10^(-5)) = 1.0×10^(-3) = 0.1 % となる。)
また下記のサイトに私がまとめた資料を示しております。