放射線量と単位
量 | 記号 | SI単位 | その他 |
---|---|---|---|
量子数 | N | I | ー |
フルエンス | Φ | m^(-2) | ー |
エネルギーフルエンス | φ | J × m^(-2) | ー |
断面積 | δ | m^2 | ー |
線減弱係数 | μ | m^(-1) | = 線エネルギー吸収係数 |
質量エネルギー転移係数 | μtr/ρ | m^2 × kg^(-1) | 光子との相互作用 |
質量エネルギー吸収係数 | μen/ρ | m^2 × kg^(-1) | ー |
質量阻止能 | S/ρ | J × m^2 × kg^(-1) | 荷電粒子との相互作用 |
線エネルギー付与 | LΔ | J × m^(-1) | ー |
質量減弱係数 | μ/ρ | m^2 × kg^(-1) | 物質には依存しない |
カーマ | K | J × kg^(-1) | ー |
照射線量 | X | C × kg^(-1) | ー |
エネルギー付与 | εi | J | 荷電粒子に対して用いる |
吸収線量 | D | J × kg^(-1) | ー |
放射能 | A | Bq | ー |
質量阻止能
荷電粒子が単位長さあたりに失うエネルギー損失で S = dE/dX ∝ [(z^2 × e^4)/v^2] × n × Z
ここで質量衝突阻止能 ∝ [(z^2 × e^4)/v^2] × [(n × Z)/ρ] ∝ [(z^2 × e^4)/v^2] × [(A × Z) × Na] z : 有効電荷 e : 電子
また S ≈ Z^2/v^2 = [(1/2)M × Z^2]/[(1/2)M × v^2] = (M × Z^2)/E となる。
また飛程 R = (1/M) × (E/Z)^2 となる。
補足として電子の質量阻止能は物質に依存せず 2 MeV・cm2/g である。
陽電子飛程
原子 | 半減期 min | 最大エネルギー MeV | 飛程 mm |
---|---|---|---|
11C | 20 | 0.961 | 4.2 |
14N | 10 | 1.2 | 5.4 |
15O | 1 | 1.7 | 8.2 |
18F | 110 | 0.63 | 2.5 |
62Cu | 9.7 | 2.93 | 4.3 |
68Ga | 68 | 1.9 | 8.2 |
82Rb | 1273 | 3.38 | 16.5 |
エネルギー別では100 MeV で約 7 cm
150 MeV で約 15 cm
300 MeV で約 25 cm これを覚えておくだけでもかなり使える。
中性子捕獲反応
原子核に中性子が捕獲されると質量数が1だけ増加した原子核が生成される。中性子の結合エネルギーはおよそ 8 MeVであるので、中性子捕獲反応は発熱反応であり、エネルギーの低い中性子 の捕獲反応によりエネルギーの高い励起状態が形成される。多くの原子核では、この励起状態から陽子が放出される原子核もある。熱中性子の遮蔽としてカドミウムが用いられる。BF3ガスを用いる 比例計数管では10B(n,α)7Li反応が起こる。3Heガスを用いる比例計数管では3He(n,p)3H反応により放出される荷電粒子を比例計数管で測定している。
中性子核反応における中性子エネルギーER = E0(4A)/(A + 1) × cos2θ
中性子の弾性散乱において原子核の反跳エネルギーEmax = [(2Mm)/(M + m)^2] × (1 – cosθ)En
荷電粒子に対する質量阻止能に関する記述
Ⅰ
ある物質の荷電粒子に対する質量阻止能は、入射粒子の速度の 2 乗に逆比例し、その有効電荷の 2 乗に比例するが、入射粒子の質量には依存しない。また、その物質の原子番号に比例し、質量数に逆比例する。この比は元素によらずほぼ一定であるので、質量衝突阻止能はあまり物質によらない値となる。
Ⅱ
熱中性子が原子番号 5 の 10B 原子核に吸収されると、α線が放出される場合がある。この現象は荷電粒子生成反応と呼ばれ、発熱反応であり、α線と 7Li 原子核が生成される。この反応の断面積は約 3800 b(バーン)と大きい。ここで、1b = 10^(-24) cm^2 である。反応後の生成核は 93 % の確率で励起状態をとり、Q 値の絶対値は 2.3 MeV である。放出される α線のエネルギーは 1.5 MeV である。この反応は中性子の検出によく利用され、中・高速中性子に対して感度を高くするために中性子モデレータ(減速材)が用いられる。モデレータとしては水素を多く含む材料が適切である。
補足
熱中性子検出には 10B(n,α)7Li 反応がよく用いられる。天然ホウ素の熱中性子吸収断面積は 764 b(バーン)と大きいが、これはホウ素に 19.9 % の存在度で含まれる 10B の断面積が 3830 b のためである。
熱中性子エネルギー、運動量ともに 0 とみなすことができるので、運動量保存則から、発熱反応のエネルギーは質量に反比例して分配される。したがって α粒子のエネルギーは 2.3 × (7/(4+7)) = 1.46 MeV となる。
Ⅲ
図に 137Cs の壊変図を示す。図における核種 X は 137Ba である。核種(m)X は X の準安定状態であり、核異性転移により X となる。このとき、(m)X から光子が放出される代わりに、そのエネルギーを軌道電子に与え電子を放出する場合があり、この現象を内部転換という。光子放出と電子放出は競合過程であり、光子の放出に対する軌道電子の放出割合 α を内部転換係数という。137Cs の放射能を 10 GBq とするとき、この線源 から放出される 662 keV の光子の数は、すべての軌道電子に対する α を 0.11 とすると、 8.5 × 10^9 s^(-1) となる。このとき、線源から 1 m 離れた位置の P における光子のフルエンス率は 6.7 × 10^4 cm^(-2)・s^(-1) であり、空気の密度を 0.0013 g/cm^3、線エネルギー吸収係数を 3.8 × 10^(-5) cm^(-1) とすると、位置 P における空気の吸収線量率は 7.5 × 10^(-4) Gy/h である。ただし、線源から位置 P までの光子の減弱は無視するものとする。
解説
γ線放出数を n(γ)、内部転換電子放出数を n(e) とすれば、α = n(e)/n(γ) で定義される。核異性体転移にともなうγ線放出割合は、
n(γ)/[n(γ)+n(e)] = 1/[1+(n(e)/n(γ))] = 1/(1+α) = 0.90 となる。
したがって線源からのγ線放出数は、10 × 10^9 × 0.94 × 0.90 = 8.46 × 10^9 s^(-1)
続いて光子のフルエンス率は (8.46×10^9)/(4π×100^2) = 6.73 × 10^4 s^(-1)・cm^(-2) となる。
続いてγ線のエネルギーを J 単位に換算すると、662 × 10^3 × 1.60 × 10^(-19) = 1.06 × 10^(-13) J である。したがって吸収線量率は、
1.06 × 10^(-13) × 6.73 × 10^4 × (3.8×10^(-5)/0.0013) × 10^3 × 3600 = 7.51 × 10^(-4) [J・kg^(-1)・h^(-1)] となる。
また下記のサイトに私がまとめた資料を示しております。