イオン交換
水素イオンと結合した固体 R に塩化ナトリウムを加えた場合 R-H + NaCl → R-Na + HCl の反応で H+ イオンと Na+ イオン が交換されるような現象をイオン交換という。周族元素で比較すると水和イオン半径が小さい原子番号の大きいものほど 吸着強度が強い。例えば H+ < K+ のようなことである。また価数が大きいものほど吸着しやすい。
イオン交換樹脂
イオン交換できる酸性基または塩基性基を持つ不溶性の合成樹脂
陽イオン交換樹脂
陽イオンを吸着、自身の陽イオンを放出。(例) R-H + NaCl → R-Na + HCl
陰イオン交換樹脂
陰イオンを吸着、自身の陰イオンを放出。(例) R-OH + NaCl → R-Cl + NaOH
放射性気体の発生の例題
1 中性子照射した塩化ナトリウムを 3 mol/l 硫酸に加熱溶解した時の反応
NaCl の Na および Cl について核反応が起こる。Na については 23Na(n , γ)24Na が起こる。Cl については同位体存在度が 35Cl(75.77%),37Cl(24.23%)である。 中性子照射によって 35Cl(n,γ)36Cl が生成するが、36Cl の半減期が 3.01 × 10^5 年と非常に長いので通常は 36Cl は検出できない。一方 35Cl(n,α)32P で、32P(14.26日)が生成し、35Cl(n,p)35S で 35S(87.51日)が生成する。また 37Cl(n,γ)38Cl で 38Cl(37.24分)が生成する。よって32P,35S,38Cl が生成し、3 mol/l 硫酸で加熱溶解すると 38HCl が出る。
2 中性子照射した硫酸ウラニル 1 mol/l 硝酸に加熱溶解した時の反応
UO2(NO3)2 を中性子照射すると、核分裂を起こし核分裂生成物ができる。核分裂生成物の中には硝酸酸性で揮発性の 131I,106Ru,85Kr が存在する。
3 CH3(35S)NH2 の水溶液を塩酸酸性にして加熱した時の反応
CH3(35S)NH2(チオアセトアミドノ)水溶液に塩酸を加えて加熱すると加水分解して H2(35S) が発生する。
4 K(125I)O3 水溶液にヨウ化カリウムを加えた後過剰のチオ硫酸ナトリウムを加える。
K(125I)O3 + 5KI + 6HCl → 6KCl + 3H2O + 3I2 となるが、チオ硫酸ナトリウム Na2S2O3 を加えると、2Na2S2O3 + I2 → 2NaI + Na2S4O6 となり気体が発生しなくなる。
5 銅の単体に 35S で標識した濃硫酸を加えて加熱した時の反応
Cu + 2H2(35S)O4 → Cu(35S)O4 + (35S)O2↑ H2O となり、放射性気体が発生する。
6 金属ナトリウム+トリチウムでは、同位体交換によりトリチウムを含む水素ガスが発生する。
2Na + 2H2O → 2NaOH + H2↑
7 金属アルミニウム+トリチウム水のアルミニウムは表面に酸化アルムニウムの不動態を形成しているため、室温では水と反応しない。ただし、活性アルミニウムの微粒子と水は常温でも反応を起こす。マイクロ燃料 電池に利用されている。
2Al + 3H20 → Al2O3 + 3H2↑
8 金属アルミニウム+トリチウムを含む 2mol/l 塩酸を加えた時の反応
2Al + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2↑
9 金属アルミニウム+トリチウムを含む 2mol/l 水酸化ナトリウム水を加えた時の反応
2Al + 2NaOH + 6H2O → 2Na[Al(OH)4] + 3H2↑
10 [32P]Cu(PO4)2に硫酸を加えた時の反応
[32P]Cu(PO4)2 + 2H2SO4 → Cu(H2[32P]O4)2 + 2CuSO4 となり過リン酸石灰を生成する方法となり、気体は発生しない。
11 Na[36Cl] + H2SO4(濃硝酸) → NaHSO4 + H[36Cl]↑ 希硫酸ではおきない。
45CaCl2 + 8NH3 → [45Ca]Cl2・8NH3 → [45Ca]Cl2・4NH3 + 4NH3 となりアンモニア水では沈殿しない。
また下記のサイトに私がまとめた資料を示しております。