日々更新している過去問解説集

汚染検査直接法・間接法に関する記述

Ⅰ 放射性同位元素による汚染の検査法には、間接法と直接法がある。間接法はろ紙等により表面を拭き取り、その放射能を測定し汚染を検出する方法であり、遊離性の汚染 の検出に適している。直接法はサーベイメータを用いて汚染を検出する方法であり、遊離性と固着性の汚染を合わせて検出できる。非密封の放射性同位元素3H、90Sr、137Csを 取り扱う施設において、3Hによる汚染は直接法では検出が難しい場合が多い。間接法による3Hの放射能測定を行うには液体シンチレーションカウンタが適してる。90Srや137Csの場合は直接法も間接法 も実施できる。直接法に用いる測定器として、90Srの汚染に対してはGM管式サーベイメータが、137Csの汚染の検出に対してはGM管式サーベイメータやNaI(Tl)シンチレーションサーベイメータが有効である。3Hで標識した水は、蒸発したり、 空気中の水分と同位体交換したりして飛散することがあるので、3Hを取り扱う際にはフードやグローブボックス内で行うことが望ましい。作業中の3Hで標識された水の飛散を調べる ために行う空気中濃度の測定の際には、エアサンプラーを用い、シリカゲルで一定時間補修する。捕集後、シリカゲルを加熱して発生する水をコールドトラップで捕集し、融解して回収した 水を液体シンチレーションカウンタで測定する。また」、実験室内の空気を直接水トラップにバブリングしたり、コールドトラップを用いて水蒸気を捕集する方法もある。90Srや137Csをバイアルから 小分けする場合には、汚染の拡大を防ぐためバットの中で行うようにするとともに、被ばくを防ぐための遮蔽用の衝立てとして、90Srにはアクリル板、137Csには鉛板が用いられる。

Ⅱ 診断、治療及びトレーサー実験等に用いられるヨウ素の放射性同位体としては、123I、125I、128I、131Iなどがある。123Iは半減期13.3時間で主に159keVのγ線 を放出し、シングルフォトン放射断層撮影法(SPECT)に利用されている。125Iは半減期59.4日で主に35.5keVのγ線とTeの特性X線を放出し、前立腺癌に対する小線源療法に利用される。128Iは半減期25.0分で443keVのγ線等を放出し ヨウ素の中性子捕獲反応で生成することから、放射化分析に利用される。131Iは半減期8.02日であり、β-線を放出するので、甲状腺がんや機能亢進症に対する内服療法に利用されている。また、131Iからは放射性の キセノンが生成する。トレーサー実験には、比較的半減期の長い125Iや131Iが用いられる。放射性ヨウ素で標識された化合物を使用する場合、酸化剤を加えたり、酸性にしたり、 加熱したりすると、分解し、周辺を汚染することがあるので注意が必要である。このため、フードやグローブボックス内で取り扱うようにする。揮散したヨウ素を捕集するには 活性炭が用いられる。

Ⅲ 32Pのみを取り扱う施設において、[32P]リン酸溶液を購入してトレーサー実験を行った。使用時の放射能は500MBqであった。実験終了直後に、実験室で間接法による 汚染検査を行った。床面の100cm2をろ紙で拭き取り、GM計数装置(計数効率:20%)にて1分間測定した。ここで、拭き取り効率は0.50とする。バックグラウンド計数を除いた 正味の計数は1200カウントであった。この床面での表面汚染密度は 2.0 Bq/cm2となる。実験終了直後に、貯留槽の放射能を測定することにした。貯留槽内の水量は1m3であった。 20cm3を採水し、アルミニウム皿に蒸発乾固した。その放射能をGM計数装置(計数効率:20%)で10分間測定したところ、バックグラウンド計数を除いた正味の計数は1200カウント であった。水中の放射能濃度は 0.5 Bq/cm3になる。なお、前日には放射能は検出されておらず、32Pの実験の際の器具等の洗浄水の流入によるものと推定された。このことは、 貯留槽に使用量の 1000 分の1が流入したことに相当する。2週間後にこれと同様のトレーサー実験を500MBqの32Pを用いて行い、前回と同量の32Pが貯留槽に流入したとすると、 その直後の貯留槽中の32Pの濃度は 0.375 Bq/cm3になると推定される。ただし、この時貯留槽の水量は2m3とし、また、32Pの半減期は14日とする。

第1種放射線物理学問題・解説1

https://www.onamae.com/campaign/21st/?banner_id=690_a8_053&waad=LzVZEptm&argument=29kVaVam&dmai=a5c73cbbacd387

https://secure1.adcent.jp/link?v=a8_QrKZ%2Ftm%2F9%2FS0d%2B8FVsYZvg%3D%3D