α線放出核種のサーベイの方法に関する記述

α線の空気中の飛程は 5 MeV のエネルギーでも 3.5 cm 程度であるため、α線放出核種については主として内部被ばくの管理が重要となる。内部被ばくを防ぐための管理測定では、空気中における放射能濃度と物品などの表面汚染密度の 2 つの量が主な対象となる。放射能濃度の測定において、粒子状汚染はろ紙フィルタに吸引捕集し、α線や光子などを測定して評価することが一般的である。また、気体状のものは、サンプリング容器 に捕集し測定するが、検出器自身がサンプリング容器の機能を持つ通気型電離箱を用いて測定する場合もある。一方、表面汚染密度については、管理対象物の表面をα線測定用サーベイメータで測定する直接測定法と、ろ紙などを用いて拭き取ることにより遊離性汚染の放射能を測定する間接測定法がある。

 

α線測定用サーベイメータには、比例計数管、シンチレーション検出器、半導体検出器などの検出器が用いられる。気体計数管である比例計数管はβ線測定と兼用でき、入射窓面積が大きいものが多く、計数ガスとしては PR ガスが用いられる。α線測定用シンチレーション検出器は、一般的に、粉末状の ZnS(Ag) シンチレータを光透過性のある膜状に塗布して、光電子増倍管と組み合わせて構成される。半導体検出器は、シリコン半導体を用いた電子デバイスの 1 つである ダイオードと同様の接続構造を持ち、これに逆方向の電圧を引火することにより生じる空乏層を有感領域として利用する。これらのα線用の検出器は、光子やβ線にも感度を持つことがあるが波高弁別によりα線の計数への影響を抑えることが可能である。

 

補足

電子デバイスとしてはトランジスタとダイオードの選択肢があるが、トランジスタは増幅やスイッチ作用を有する半導体のことを言う。

 

サーベイメータを用いた直接測定法において、α線の正味の計数率 N(α)[s^(-1)] と表面汚染 R[Bq/cm^2] との関係は、次式で与えられる。
R = N(α)/(W・ε(a)・ε(b))
ここで、ε(a) は機器効率と呼ばれ、線源との距離、検出器の入射窓厚などに依存して変化する。ε(b) は線源効率と呼ばれ、汚染部の状態に依存し、α線の自己吸収などにより小さくなる。また W[cm^2] は検出器の窓の面積を表す。α線測定用サーベイメータ(W:60 cm^2) を構成するため、α線表面放出率 300[s^(-1)] の面状標準線源(面積:15cm × 10cm)を密着に近い状態で測定したところ、正味の計数率 30[s^(-1)] が得られた。このサーベイメータで汚染部分を測定し、N(α) として 15[s^(-1)] の値が 得られた場合には、ε(b) を 0.25 とすると、上記の式より表面汚染は R は 4.0 Bq/cm^2 となる。一方、間接測定法の場合では、表面汚染 R’ [Bq/cm^2]は次式で与えられる。
R’ = N(α)/[F・S・ε(a)・ε(b)]
ここで、S は拭き取った部分の面積である。F は拭き取り効率と呼ばれ、一般に汚染面の状態が平滑で浸透性が低いほど大きくなる。

 

解説

標準線源の面積は 150 cm^2 であり、1 cm^2 あたりの放出率は 2.0 cm^(-2)・s^(-1) である。よって機器効率は ε(a) = 30/(2.0×60) = 0.25、したがって表面汚染は R = 15/(60×0.25×0.25) = 4.0 Bq/cm^2 となる。

また下記のサイトに私がまとめた資料を示しております。

第1種放射線取扱主任者まとめ集

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